音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

イーグルス・ファースト (イーグルス/1972年)

2013-04-26 | ロック (アメリカ)


ドゥービー同様、このブログではイーグルスのレビューも時系列を無視してかなり区々に書いてしまっている。以前にこれらは、アメリカンロックだということを理由にしたが、もうひとつ音源の問題もあった。アナログは全て揃っているものの、デジタルだととびとびなのがアメリカンロック・ミュージシャンと筆者の関係だ。先月、このバンドもCDボックスが発売になったので、重複の如何に係らず手に入れて、全曲を久々に聴いた。そのうえで、殆ど彼らに対する自身の考えと、同時に筆者が提唱しているイーグルスならではの悲劇に関しては間違いのないところを確認した。なので、この機会に、このバンドのレビューも書いておこうと思う。重複するが、イーグルスはリンダ・ロンシュタットのバックバンドであった。リンダ自体は1960年代から歌っていたが、徐々にカントリーからロック傾向にシフトしつつあり、そんな転換期にこのイーグルスの面々と出会えたことは彼女にとっても大きな躍進であった。しかし、プロモーターはそんなリンダは勿論のこと、このバックバンドに注目した点は流石だったと思う。

筆者は基本的にイーグルスサウンドと言われるのは、このファーストと次の「ならずもの」だけだと思っている。それは筆者と彼らとの出会いに象徴される。一般的に「ホテル・カリフォルニア」前後の彼らのファンであれば、イーグルスというのは超ビッグな存在であろうが、筆者に取ってはジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタットの方が特別なミュージシャンで、その「流れ」で聴いていたのだから、どうしてもそういう評価になるのは致し方ない。だが、この作品は同時期のジャクソンやリンダのアルバムよりもずっと洗練されているし、とても纏まっていてクオリティも高い。それは一重に「カントリー」の要素なのだと思うのだが、この時点でイーグルスはカントリーとロックの融合を見事に完成させている。その代表的な楽曲が、"Take it Easy"と"Vitchy Woman"である。この2曲はイーグルスを代表する曲とも言っていいほどであるが、ご存じの通り、前者はジャクソン・ブラウンとグレン・フライの共作である。まだ売れない時代のグレンがジャクソンのアパートに転がりこんでいたときにセッションして作った曲だと言われていて、日本で言えば差し詰め三畳間のヒットソングなんて言い方がされそうな曲、「神田川」みたいな曲ではないだろうか? ジャクソンも自身のアルバムで歌っているが、こちらはカントリーではないものの、シンガーソングライター調が優先していて、その素朴さは良いのだが、この楽曲に限ってはイーグルスの方が勝っている。同様に、次の曲の"Vitchy Woman"は、デビュー2曲めにして初の全米トップ10入りを果たした曲(“Take it Easyは最高位12位)であるが、これはリンダの事を歌っている内容として評判になったのも事実。この時代のリンダの映像を見ていると、普通にイーグルスの面々がバックで演奏をしているものなんかあるから可笑しい(今になっては嬉しい??) この2曲のカントリーロックという、ある意味新ジャンルが、このバンドを新しいアメリカンロックの可能性としてファン層の支持に繋がったのであった。アメリカでは現在でもカントリー音楽の支持が根強い。ある意味カントリーミュージックはアメリカの民謡であり、心でもある。そのアメリカ人の真髄を60年代以降の流行りのロック音楽と見事に融合させたというのが、このイーグルスなのであった。この時代は本当に良かった。

既に、このブログでは先にレビューを書いてしまっているが、イーグルスは残念ながら商業音楽にどっぷり浸り利用されてしまう。それ以前の2枚が、このファーストと次のコンセプト・アルバムなのである。


こちらから試聴できます。



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