音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

噂 (フリートウッド・マック 1977年)

2009-11-13 | ロック (アメリカ)


誰にでも擦り切れるほど聴いたアルバムがあると思うが、私の場合、なんと言ってもNo.1はこのフリートウッド・マックの噂(Rumours/Fleetwood Mac)であろう。このアルバムは1977年にアメリカのヒットチャートで火がついて、最終的に売れた枚数は1700万枚とも、3000万枚とも言われている。この前年には、ピーター・フランプトンのライブアルパムが驚異的な記録を残したり、前後してイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」や、映画「サタディ・ナイト・フィーバー」のサントラ盤大ヒットがあったが、その合間も常にヒットチャートの3位以内に君臨し、1年近くもトップ10にランキングされ、ついにはグラミー賞のアルバム部門にまでも輝いた。私も前述のようにこの間、最低1日に1回は聴いたし、その後も女性ヴォーカルをヒューチャーしたバンドを作ったことがあり、その演奏のための耳コピで何度も聴きまくった。そのうちに折角スティーヴィーが素敵なジャケットがボロボロになってしまい、2枚目を買い、それは保存用にしてもう一枚を鑑賞用に、つまりは同じレコードを3枚買った。勿論、CD化になっても買い、更には、ボーナス・トラック付のリイシュー盤も手に入れ、つごう5枚持っていることになる。こんなロックアルパムは多分他には無い筈だ。

フリートウッド・マックは、実は、後にサンタナが歌い大ヒットとなった「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルを発表して話題となったバンドであるが、最初はブルース・バンドであった。それがアメリカのグループによくある、メンバーがアルバム毎に編成を変え、後のソロとして日本でも人気の出た、ボブ・ウェルチが加入してからは少し方向性が変わるが、決定的な人気には繋がらなかった。しかし、そのウェルチが脱退し、1975年に新たに、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスが加入すると音楽の幅が広がり、ミック・フリートウッドの才能も一気に開花し、ひとつ前のアルバム「ファンタスティク・マック」は、アルバムの出来もさることながらシングルヒットにも恵まれ、その新鮮な音楽が全米に広まった。そこに発売したのがこのアルバムである。このバンドの大きな特色は二人の女性ヴォーカル、男性的な力強い説得力のある歌声のクリスティーン・マクビーと、しなやかに如何にも女性のセクシーな魅力が一杯のスティーヴィー・ニックスの対比である。勿論、ふたりがそれぞれソロとバッキングに別れるところもあるが、基本的には、それぞれがソロ・パートを取る曲がはっきり分かれていてその曲の配置が一枚のアルバムに実に見事に収まっている。「ザ・チェイン」のように、ごく稀に絶妙なハーモニーを聴かせてくれる曲もあるが、初めての全米No.1シングルになった「ドリームス」の様に、片方が全面にヴォーカルとして露出されている曲の方が良い。実は、このアルパム内の曲構成が良いのが、この時期の2枚だけであって、それは両方ともとてつもなく売れた訳で、やはり音楽ファンは良く分かっていると思う。残念ながら、次作の「牙~タスク~」には、この構成の妙がなく、やたらとハーモニーの曲が強調され、ミック・フリートウッドが前面に出すぎてしまったためにリズミカルな曲が多くなり、当時はアナログ2枚組というリスクもあり、全米第1位にはならなかった。余談だが、マック(そういえばこの頃はまだマックというとアップルのことでもハンバーガーのことでもなく、フリートウッド・マックのことだった)は、この後停滞期に入り、1997年に漸く、この全盛期のメンバーが集まり「ザ・ダンス」というライブアルバムとVHSビデオを出し、ビデオは全米で最も売れた1本になったが、このときの演奏曲目はこの2枚のアルパムからの曲が半分以上を占めた。やはり、マックのファンはこの時代の音楽を求めているのであった。

今でも、このアルバムをたまに聴くことがあるが、思い出すのは、前述以外に「ドント・ストップ」、「オウン・ウェイ」(親友のドラマーが可也苦労した)、「ユー・メイク・ラヴィング・ファン」(スティーヴィーのヴォーカル部分はハモるのも難しい)といった、バンドで演奏したナンバーばかりである。この時代はリアルタイムで、文化祭で注目されそうなバンドを作り演奏を目指していた。私は3つのバンドに参加していたが、男子校ということもあり、当時ふたりの女子大生をヴォーカルにファーチャーしたこのバンドの演奏が一番受けたし、バンド人気投票でもトップになった。そんな青春の思い出が沢山詰まったアルバムでもある。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あれあれ? (Jenny)
2009-11-15 00:31:38
>その後も女性ヴォーカルをヒューチャーしたバンドを作ったこと

わたしとSeko-Mのことですね。

「懐かしい」
そして
「恥ずかしい!!」
本当だわ (Seko-M)
2009-11-19 00:16:43
私たちのことですわ。

実際マックだとすると、私はクリスティーの方なんですよね。

ただ、私的にはオリジナル曲の方が多かったと思います。私たちが詩を書いて、turtooneが曲を書いてましたよね。私、まだ全部覚えてますよ。Jennyは今すぐでもハモれます?

なんだかライヴをやりたくなりましたね。でも今だと、もうピアノ三重奏曲でしょうか?

私たちは大丈夫だけど、turtoone、ピアノ大丈夫ですか?

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