小さな駅の小さな待合室の
二列に並んだ古い木のベンチに
赤ちゃんの首が並んでいる
首は白い産着にくるまれて
泣くでもなく
てんでばらばらな方向を
黙って向いている
乗客が忘れて行ったものか
それとも置いて行ったものか
ベンチにはまばらに人も坐っている
誰も赤ちゃんの首を気にしていない
彼らには見えないのか
見て見ぬ振りをしているようではない
彼らは何処に行くのか
ここは何処の駅なのか
あたりには水田が広がり
緑の稲穂が美しい
両側は低い山並み
その上に雲ひとつない空
ぼくはいったい 何処から来て
何処に行こうとしているのか
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます