終日 平原は吹雪の乱舞に覆い尽くされた
平原には果てがなかった 果てのない平原を呑みこんで
風は白い大地を空へ投げ返した
生命あるものは何もなかった ただ大樹が一本
全身を引き絞って踏みとどまっていた
樹は平原のまんなかに立っていた いや
樹があるからこそ そこが平原のまんなかだった だから
吹雪が止むと静寂は枝々の先から四方にひろがっていった
(連作「はるにれ」のうち 一月)
終日 平原は吹雪の乱舞に覆い尽くされた
平原には果てがなかった 果てのない平原を呑みこんで
風は白い大地を空へ投げ返した
生命あるものは何もなかった ただ大樹が一本
全身を引き絞って踏みとどまっていた
樹は平原のまんなかに立っていた いや
樹があるからこそ そこが平原のまんなかだった だから
吹雪が止むと静寂は枝々の先から四方にひろがっていった
(連作「はるにれ」のうち 一月)