すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

「老いた時への祈り」

2018-06-05 20:41:00 | 
 友人がヘッセの「人は成熟するにつれて若くなる」というエッセイ集を挙げていた。
 ぼくは、理想の老いと死はヘッセが小説「ガラス玉演技」で描いている「音楽名人」のそれだと思っているが、上記のエッセイは、今から20年ほど前に題名にひかれて買ってはみたものの、面白いとは思わなかった。
 あの頃ぼくは50歳になったばかりだったから、いま読めば違う感想を持つだろうか。
 一方で、「音楽名人」の老いとはまったく正反対だと言ってもいいと思うが、下記のような詩にも心を惹かれている。

 ウイリアム・バトラー・イエーツの詩の引用です。

…自分が賢い老人にならないように、
だれもほめそやす老人にならぬように
どうか守ってほしい。
ああ、ひとつの唄のために
阿呆みたいになれない自分など
なんの値打ちがあろう!

お願いだ――いまさら流行の言葉もなくて
ただ率直に祈りを繰り返すが――
どうかこの私を
老いぼれて死ぬかもしれんその時も
阿呆で熱狂的なものでいさせてくれ。
   「老いた時への祈り」(加島祥造訳)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする