文科省の科学研究費補助金の制度でも、研究主任は常勤職の研究組織のメンバーなので、その人件費の補助金は支出されない。出るのは、研究出張の旅費であるが、そこに日当の要素が加わると、俗にいう旨味が生じる。ただ、情けないことに、このような旨味がないと、科研費を申請し、審査を受けて落とされる屈辱に耐えるに日々もあるので、空出張でないかぎり、旅費規程に順えば問題はない。最大の問題は、研究補助者の謝金という形の臨時雇用者への人件費である。補助金は、最大で5年間が多いので、短期に、臨時に雇用される「研究補助者」という流動的な存在が、非正規雇用者として必要になる。こうして、日本の研究開発は、有能なのに正規雇用されない人材群に支えられている。大学教育も、非常勤講師たちの低賃金の労務提供により成立している。この「麻薬」式の研究補助行政を抜本的に改革するのは、困難を極める。しかも、日本人が臨時雇用者としての雇用に我慢できないから、修士課程を終えると、企業に正規雇用される道を選ぶ。こうして、大学院の博士コースに残るのは、極めて珍しい存在となる。では、中国のように研究職の人材を全て正規雇用しても、決定的に世界をルードする研究論文は生産できない。費用対効果では、一応は参考となる基礎研究、手間暇をかけた基礎研究の量的生産はできる。しかし、中国発の画期的な研究は生まれない。日本の補助金、コンペ方式が悪いのではない。中国でも、公募方式の補助金制度が普及しているが、底辺の雇用は安定している。だから、雇用条件を改善することは、科学研究の根本問題ではない。最先端で何が問題になってるのか、それが専門家を名乗りながら、見えていないリーダーの側の限界が、世界の先端大学との新の格差である。これは、中国、韓国、日本、それぞれに共通する。それは、自己脳という厳しい関門に審査される高次元も問題である。教科書の間違いに気づく思考力である。そういう人は、極めて数は少ない。全く雇用条件の制約ではない。だから、「麻薬」型はそれは、それで、その程度の研究ニーズということに尽きる。
補助金が切れたら終わりの「麻薬式経営」 goo.gl/dn3B5Z
— 中村哲夫 (@shinjyugaku) 2018年12月5日 - 07:00
バイオ製薬研究の大きな壁:製薬工程の壁 blog.goo.ne.jp/toyama0811/e/1…
— 中村哲夫 (@shinjyugaku) 2018年12月5日 - 07:01