中国人は、現実を重視し、夢をみない民族だと思いがちである。確かに、現実への柔軟な対応力は優れている。だが、歴史の転換点では、「夢みる人物」が登場する。その第一人者は、孔子である。秦の始皇帝も、永遠という夢をみていた。それから、2000年、孫文は、地球のなかの中国の落ち込みを、人類にたいする中国人の自己責任の回復を夢見た。中国の様々な書籍には、「夢」にまつわる話が多く出てくる。夢の一つは、潜在意識にある願望である。もう一つの夢は、占いである。だから、夢についてまとめて1冊の本になる。習近平は、いきなり「中国の夢」を提唱した。「中国人の夢」を代表する「夢文化」である。僕が、読書しなかったら、中国人は現実主義者だという固定観念に染まっているだけだった。でも、「論語」にからむ読書をした結果、中国的な思考法として、閉鎖回路ではなく、開放型の回路があり、自殺を避け、生の饗宴を夢見ることで生存を高めることに繋げている。日本に宮崎滔天の「三十三年の夢」は中国人に知られている作品だが、夢と挫折とが交互に現れ、基本は、悲観である。彼と親しかった孫文は、100年後の中国の夢を楽天として信じていた。
僕は、少子化の日本の将来を楽しみにしている。必ず困難、困窮の場はある、「窮すれば通ず」という『易』の啓示は、「夢」の源だと読書で知ったからだ。