このところ、中国では、習管軍、李管経、という分業が明確である。李克強に経済運営の管理を委ね、経済危機のリスクから習近平個人への政治権威へおよばない仕組みに戻された。そのなかで、李克強は、基礎科学の教育、特に数学の教育に大きな比重をかけることを鮮明にした。どこまで、徹底させるかは疑問だが、3月の全人代において、国家的に数学教育への傾斜が強められると思われる。その際、数学のうち、どの領域に比重がかけられるか、報道では明らかではない。おそらく、中国のIT産業におけるプログラミングの技巧偏重から、もう一度、根本原理としての計算科学を立て直さないと、中国オリジナルは生まれないという危機感があるようだ。それは、国務院の経済管理に欠かせない基礎の問題である。学問の時代として、高度な数学人材が、イノベーションに欠かせないことに気づいたわけである。この面では、日本は長期の数学人材の育成のベースがある。しかし、文系の学部では、数学は全く重視されていない。理工系から、せめて国立では文系学部を廃して欲しいという声には根拠がある。入試だけでなく、数学の卒試くらいは考えるべきだ。話は元へもどるが、日本に比べ、中国は数学教育では周回遅れである。