昨日(16日)の新聞記事で僕が最も注目したのは、ルーブル(ロシア通貨)の急落です。何分、今の石油の世界価格は下落幅が大きく、石油の大量輸出国で、また、世界の大国でもあるロシアが輸出が振るわなくなり、経済状態も悪くなり、通貨も下落したわけです。そのようになった原因は、アメリカの「シェール革命」。それまでは大量の石油輸入国だったアメリカが、科学技術の発達により、シェール岩層から大量の石油と天然ガスを採掘できるようになり、輸入も必要なくなり、更には、近く日本にも石油が輸出されるようにまでなるわけです。その他、すでに世界各地で太陽光や風力発電も増えており、石油は世界的に余剰傾向で、原油価格も下落の一途をたどっています。
多くの人は「石油が安くなれば、結果的に物も安く、たくさん買えるから、いいじゃないか」と思ったとかもしれませんが、世界経済はそう簡単ではありません。原油を売って生活が成り立っている国々が非常に困るわけです。それらの国々に入るお金が減り、その分だけ、貧しくなるからです。すでに、中米の
産油国、ベネゼーラでは国が非常に貧しくなり、福祉も切り捨てられ、失業者も増え、政治も不安定になりました。大国ロシアもそうなりつつあるわけです。ロシア経済がさらに悪くなれば、ロシアと結びつきの強い東欧諸国、ギリシア、中国、ベトナムなどの経済も悪化します。東欧やギリシアが落ち込めばEU諸国もそれに引きずられる形で不景気になりますし、中国が落ち込めば同様に日本や韓国が不景気にもなるわけです。非常に大きな問題を秘めています。
丁度百年前、第一次世界大戦が起きました。きっかけはサラエボの皇太子の暗殺事件でしたが、根はロシアとイギリスの覇権争いだったと言われています。今は国際状況も大きく変わり、今回の件から大きな戦争が起きる事はないと思われますが、ロシアは世界的に見て、因縁深いものがある大国なので、ロシア経済の動きには目が離せません。
今は何とも予見できませんが、あるいは、今回のロシア経済の動きが時間を置いて、日本経済にも大きな影響を与え、それが日本経済の大規模な構造改革、それに、政治改革をもたらすのかもしれません。歴史を見ても、日本の政治・経済改革はほとんど「外圧」によるものですし。そのようなわけで、ロシアの件は日本にとっても、他人事ではないと僕は見ています。