粗雑な中台戦争予測

    暮れにＮＨＫスペシャルで中国軍の台湾侵攻想定の模様が放送されていた。何分、台湾周辺で中国軍と台湾・アメリカ軍が激しい戦闘を行ない、沖縄県も巻き込まれ、双方に甚大な被害が出て「勝者も敗者もない状態になる」とか。おかしな点が二つある。

　　一つは介護問題。すでに中国は高齢者の要介護が増えている。数年後には莫大な人数になり、介護士を大量に作らなければならない。一方、戦争は自動的に大量の身障者を作るから、更に大量の介護士を必要とするようになる。台湾併合できても、中国は国家として成り立たなくなる。最初から見えている。そのようなことをあえて中国政治家と軍はするだろうか。彼らもバカではない。

　　もう一つは軍事バランス。中国が対峙しているのは台湾だけではない。南シナ海の西沙・南沙群島ではベトナム、南西ではインド、西はイスラム独立運動と対峙している。台湾に大量の軍を投入すれば、それらの防衛も手薄になり、場合によっては攻め込まれ、大変な事になりかねない。この面からも中国の政治家と軍人は台湾侵攻するだろうか。

　　以上二つを報道していない。素人以下の粗雑な内容。国際問題を知らない人たちの不安をあおるだけ。戦争予測も多面的に見ないとできないが、それをしていない。以前はＮＨＫスペシャルで中国の高齢化福祉問題も放送されていたのも覚えている。ならば、担当者は違っても、なおさらおかしい。

　　不安をあおるような番組はやめてもらいたい。