夏至ぞとてなほ覚め難く時計の音
(げしぞとてなおさめがたくとけいのね)
独りぼちの少女影踏みできず夏至
(ひとりぼちのしょうじょかげふみできず夏至)
一昨年、「夏至」の季題で詠んだ句に、こんな写真をつけました。
6月11日~20日のつぶやき句を、自選32句にまとめました。
予報士のミニのスカート梅雨出水 予報士の滑る駄洒落や梅雨出水
この星の喘ぎ嘆きか梅雨出水 人魂と紛ふ蛍火肝試し
蛍追ふ少女四十路となりにけり 蛍火や儚く消えし恋一つ
早苗風村に若嫁来たさうな 老農の煙管くゆらす植田かな
宮の森映して里の植田かな 高齢の里若やげる植田かな
三千院の庭の子仏苔の花 水掛の不動詣りや苔の花
碑のかすれし文字や苔の花 とおすみや夢二のをみななよやかに
ほつれ毛の白きうなじや糸蜻蛉 瀬の音の耳にさやかに糸蜻蛉
拉致人や浜昼顔のただ咲きて とおすみの水面を蹴れば微なる水輪
浜昼顔渡り叶わぬ砂の橋 浜昼顔渚に恋の忘れ物
竹植うや粗家を終なる住処とし 隣家より伸びて来し根や竹移す
婆ちゃんと鍬振る荒れ地桑苺 桑の実と鍬を担いで帰りけり
桑苺母は嫁いで行きにけり 桑苺昔はものを思はざり
濡れ鳥の翼重たげに桜桃忌 走つても逃れ得ぬ夢桜桃忌
桜桃忌天命未だ悟り得ず 濁り鮒腹の黒きは人の業
清廉に生くこと難し濁り鮒 濁り鮒人清濁を併せ持ち