ダム底に沈みゆく身を汝知るや
沈みゆく陽に盛る芒穂
湧きあがる十重に二十重に嘆き声
コロナ危機てふ渦中にありて
笑へる日のきつと来るはず障子干す
明日を思ひ得る幸せや障子干す
国境の争ひあらず海猫帰る
オホーツクの深き群青海猫帰る
オホーツクの浜の朽ち舟海猫帰る
幾山河先の故郷いわし雲
鮭颪我が来し方のあれやこれ
名月を讃えて詠みし芭蕉碑に
伝説を秘める湯尾峠は
ここの湯尾小学校が私の母校です。

日野川の源発す夜叉ヶ池
里に伝はる語りたたへて
故郷の夜叉ヶ池

嘴の青きこと言ひ濁り酒
幾山河先の故郷いわし雲
子守女の背負ふ悲哀や穂田の道
恋歌にしたたる想ひこぼれ萩
解し難き乙女心や秋の雨
秋雨やハスキーボイスの歌を聴き
雲厚く風雨を呼ぶか龍田姫