無縁仏にくゆる線香彼岸花
(むえんぶつにくゆるせんこうひがんばな)
彼の岸に帰りし友やちちろ虫
(かのきしにかえりしともやちちろむし)
彼岸花とちちろ虫の声に、
今年逝った友の事が、ふと思い出されました。
彼岸が過ぎて、また彼の地に帰って行ったことでしょう。
彼此岸を渡せるや十六夜の月
(ひしがんをわたせるやいざよいのつき)
留守していましたので、時期がずれましたが、
先日の、十六夜月の写真に、一句添えてみました。
灯火親し源氏をつづる式部かな
(とうかしたしげんじをつどるしきぶかな)
紫式部も、月明りで、源氏物語を綴ったのでしょうか。
9月11日~20日のツイッターつぶやき句を自選25句にまとめました。
あの人を信じてみよう厄日かな 恨み事一つ流さむ厄日かな
厄日かなあれから二年六か月 百ますの競ふ掛け算秋暑し
コスモスや五百羅漢の五百相 城跡に鬨の声かな虫時雨
石垣の古りし城跡虫時雨 現役の夢から覚めぬ虫時雨
ボイジャーの遙かな旅や流れ星 稲掛の十段にゐる景色かな
稲掛ける日野山麓の景となり やりまわし決めてだんじり秋祭
泣虫も今日は凛々しく秋祭 イプシロンの発ちたる彼方秋夕焼
感謝してまあるく生きん小鳥来る 小鳥来る森に数多の物語
繕いをする祖母の背や灯の親し 畳み込む思ひいくつか秋簾
消してまた書く恋文や灯の親し 灯火親し源氏の君の忍ぶ閨
妙薬は酒にしくなし糸瓜水 毒舌に効能なしや糸瓜水
とめどなき井戸端会議糸瓜水 咳払い一つ吐きけり糸瓜水
灯火親し源氏の君の忍ぶ閨
天災の傷痕深く月今宵
(てんさいのきずあとふかくつきこよい)
台風18号で被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。
西行のかこつ涙や月今宵
(さいぎょうのかこつなみだやつきこよい)
西行法師の歌「嘆けとて 月やはものを 思はする・・・・」よりの一句。
十五夜や戦の絶えぬ星に住み
(じゅうごややいくさのたえぬほしにすみ)
↓ しつこいのですが、ツイッターで多くの支持を頂いたので、あと二句を。
ボイジャーは今どのあたり月今宵
シリアにも見る人あらむ月今宵
《お知らせとお詫び》
21日より数日留守いたしますので、
その間、皆様への訪問、コメントが出来ません。
悪しからず、ご承知おきください。
真海さんの眩しき笑くぼ秋桜
(まみさんのまぶしきえくぼあきざくら)
五輪とパラリンピックの招致のプレゼンで話題になった佐藤真海さんです。
賛否両論ある招致ですが、
被災地出身で、自らも大きな障害を乗り越えてきた彼女の
眩しいばかりの笑顔を見ると、東京になってよかったと思えます。
コスモスに紛れて風と化す身かな
(こすもすにまぎれてかぜとかすみかな)
今日の写真は、昨年10月の撮影のものです。
まだ今年は、少し早いかも知れません。
日和見に生きて今日あり秋桜
(ひよりみにいきてきょうありあきざくら)
なるようになるしかならぬ糸瓜かな
(なるようになるしかならぬへちまかな)
悩み事一つ溶かして秋の風
(なやみごとひとつとかしてあきのかぜ)
写真はホテイアオイで、夏の季語なんですが、今が盛りで・・・。
9月1日~10日のツイッターつぶやき俳句、自選24句にまとめました。
法師蝉有情無情の此岸かな 人の世に屈託多し法師蝉
つくつくに季(とき)の移ろひ知りにけり 白桃や昔語りの鬼退治
白桃の乳房に眠る赤子かな 秋風や旅の杣道また一つ
故郷の駅の寂れや秋の蝶 爽籟や兵どもの鬨の声
秋の灯やあの日別れて四十余年 病める目にたらす一滴白露かな
爪紅やままごと妻の母に似て 爪紅や亭主の役は四歳児
爪紅の弾けてあの日別れけり 爪紅のはじけ思春期迎へけり
南瓜や呼ばれしあだ名田舎者 平成より重き昭和や南瓜喰う
見るほどに我のよく似る南瓜面 台風や読めない君の心内
生まれ消え恋の台風二十号 台風に目あり心もあらばやと
見るからに頑固おやじぞ南瓜面 南瓜喰ふ昭和は遠き五輪かな
鰯引くやん衆は昔語るのみ 鰯引くあれに聞こゆは大漁節