常世へと発ちし女優や彼岸花
農政の貧叫ぶ声初嵐
長き夜やむすびころころ物語
子守女の背負ふ悲哀や穂田の道
恋歌にしたたる想ひこぼれ萩
解し難き乙女心や秋の雨
秋雨やハスキーボイスの歌を聴き
雲厚く風雨を呼ぶか龍田姫
額田王の気配ふとあり曼珠沙華
額田王(ぬかたのきみ)
いにしへの権勢の丘秋の風
明日香村の甘樫丘
秋興や老いどち集ふ歌くらべ
秋興や五歳若やぐ顔エステ
改新の秋であれかし板蓋宮
季語が弱いかな
権勢も石下に眠り月の秋
秋分や行く道明日は来し道に
いにしへの都の里や彼岸花
今生で朽ち果つるとも彼岸花
虫籠に大原知らず老いにけり
虫籠や虫の心根知らずして
虫籠の如くカラオケ喫茶かな
鹿倉山を遥かす里や曼珠沙華
藁塚や猿と見紛ふ園となり
戦後子の未だ盛りとて敬老日
逞しかりし戦後男の子やをとこへし