鎮魂のひと年巡り鐘朧
(ちんこんのひととしめぐりかねおぼろ)
あれから一年が経ちました。
今日の2作は、復興の願いとと鎮魂の意をこめてアップします。
《IT句会・早春句会~当季雑詠部門より》
春標す津波の松の如来かな
(はるしるすつなみのまつのにょらいかな)
IT句会・早春句会の当季雑詠部門の参加作品です。
〔特選〕臥竜さん、貴重な一票有難うございました。
東日本大震災の大津波で流出した岩手県陸前高田市の松を使い、
京都伝統工芸大学校の学生が大日如来像を彫り、
そのニュースが、過日テレビで放映されました。
お姿、お顔を見て、思わず手を合わせたくなるほど感激しました。
その思いを詠みたかったのですが、まだまだですね。
もちろん、写真は、その如来像ではありません。
なお、IT句会の他の部門の作品は、次回記事でアップします。
投稿句有難うございました。
比良八荒まだ治まらぬ気配なり よしさん
3月1~10日に、ツィッターでつぶやいた句をまとめました。
(一部削除 一部推敲)
断ち切れぬ想ひざわめき恋の猫 恋猫の後ろ髪引くやうに去り
恋猫の我が恋夢を破りけり ものの芽や“いないいないばあ”の笑ひ顔
雁瘡の癒えて花粉禍始まりぬ 雁瘡の癒えど瓦礫の目途立たず
雁瘡癒ゆ格安ピーチ飛びにけり 荻の角いざや濁世に出でんとし
春光や気力体力満たさねば 六十路来てまあるくなれず荻の角
荻の角嫁姑のそれに似て 受験子の静寂破る咳一つ
はっきりと意見を言ふ子雛飾り 卒業の歌にいきものがかりかな
卒業子ビリーブ中発ちにけり 鶯のお里(おくに)訛か鳴き合せ
みどり児の健を願ひて鳴き合せ まんさくの身をよじらせて咲きにけり
女生徒の襟のリボンやまんさく花 さりげない笑顔の女性(ひと)やまんさく花
まんさくや赤子乳房をまさぐりて 山深く翁と雪代山女かな
過疎里に艶めく雪代山女の名 啓蟄や木の芽峠の一軒家
啓蟄や命目覚めよ東北に 花簪八坂詣りのだらり帯
花簪祇園町家の犬矢来 お点前の白き指かな花簪
滔々と比良の雪解の湖国かな 高齢の里に雪解の若きかな
車組む下肥運ぶ子でありき 荷車を組むや山田の遠かりき
いたづらの相合傘や木の芽雨 さあちゃんの黄色の傘や木の芽雨
畦を焼く農婆の腰のくの字かな 日野山に抱かるる里や畦を焼く
止まると見し景に畦焼く煙かな 四方山を墨絵ぼかしに春の月
春の月唱歌の一つ浮かびけり 越前の海の和らぎ磯菜摘み
今生の荒波生きて磯菜摘み 磯菜摘む岩に一羽の海鵜かな
磯菜摘み波の残せし一葉かな 越前に育ちし子らや雪間草
故郷は越前湯尾(ゆのお)雪間草 海豹や我が愁いなど小さきもの
海豹や時に迷いて見るもよし 人の世も時に良きもの子海豹