今月(11月)26日発行予定の富退教だより139号への寄稿として中島正平(小矢部市)さんから以下のような寄稿文が届きました。一足先に掲載しておきます。
『図書館戦争・・・』を観て思ったこと
中島 正平(小矢部市)
先月、「図書館戦争 THE LAST MISSON」なる映画を観てきた。この映画は、有川浩氏の小説、「図書館戦争」シリーズ全4巻をもとに作られた映画で、2013年に公開された映画「図書館戦争」の続編にあたる。
両作のあらすじは、『青少年に悪影響を及ぼす有害情報や人権を侵害する表現が氾濫し、その影響を受けたと思われる犯罪が増えだした1988年、これらを規制するための「メディア良化法」が制定される。やがて、法の施行に伴い、不適切とされたあらゆる刊行物・創作物は、良化法の執行機関である良化特務機関(メディア良化隊)によって厳しい取り締まりを受けるようになる。世の中の情報がどんどん制限され自由が侵害されていく中、これらの検閲に立ち上がったのが公共図書館である。図書館側は、「図書館の自由に関する宣言」を基に「図書館の自由法」を制定し、図書館と本の自由を守るべく、自らも武装した図書隊を結成して防衛体制を整える。以後、図書隊と良化特務機関との武力を伴った過激な戦いが繰り広げられていく。』といった内容で、武力による攻防戦などかなり現実離れした内容ではあったが、図書隊員の成長や恋愛劇もあり結構楽しめた。
さて、このようにかなり荒唐無稽な話で、全てが架空の設定だとばかり思い込んでいたが、図書館に関わるようになった今、上記の「図書館の自由に関する宣言」が実在していたことに驚かされた。
実際の宣言の項目のみを抜き出すと、以下のようになる
図書館の自由に関する宣言
日本図書館協会 1954採択 1979改訂
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、最も重要な任務とする。
この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
これは、映画の内容とほぼ同一であり、かなり過激な表現といえる。そして、逆に考えれば、1950年初頭に図書館の自由が侵害されかねない状況であったことが伺えてくる。そこで、その背景を探ってみると、1952年に治安維持法の後継と目された破防法が成立していることが分かった。幸いにして、社会党等の尽力でかなりの部分が削減された破防法は、有名無実に近い内容となり、今日のメディアの自由につながっている。
さて、多くの国民の不安と反対をよそに、先の国会で「安全保障関連法」が強引に可決されてしまった。その影響が出るのはまだ先のことかもしれないが、どこまで拡大してしまうか計り知れない曖昧さがある。今回の映画から、改めてその怖さを知らされた思いである。
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