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毎日新聞 余録

2020年08月29日 | Weblog

 かつてアフリカ南部のソファラの王朝では王の身体に何かの異常が生じたら、その王は臣民に命を奪われたという。たとえ歯が欠けても、部族の繁栄に欠かせない王の呪力が失われたとして交代を強いられた▲英国の人類学者フレーザーのいう「聖なる王殺し」の一例で、王の病気や老齢は部族全体の衰亡をもたらすと考えられたのである。しかしソファラのある王は、自ら歯を折って臣民に平然たるところを示し、王殺しの習俗を廃止した▲今日の民主政治でも指導者の病気は、人々の間に目に見えぬ不安や動揺を呼び起こす。そんなざわつきの中で、表明された安倍晋三(あべ・しんぞう)首相の辞任の意向である。憲政史における首相在任期間の記録を連日延ばしてきた政権の終幕である▲振り返れば、自らの第1次政権投げ出しに始まる短命政権の連続に終止符を打った8年前の第2次政権発足だった。走り出すと、野党が国民の信を取り戻せず、与党内の対抗勢力も広がらぬなかで固まった「安倍1強」の構図である▲その1強首相の体調不良再燃が、経済再生の約束や東京五輪を吹き飛ばした新型コロナ禍のさなかなのは偶然かどうか。ともあれ自身の体調の回復のためにも、国政の難所の克服のためにも、退陣はやむを得ない成り行きなのだろう▲政界を動かす力学がすぐさま次の首相選びに移る政治の非情は、それこそ呪力が支配する部族の王の交代と変わるまい。コロナ禍の下、次のステージへ時代の歯車を大きく回した病身のトップの決断である

ソファラ アフリカ東海岸モザンビークの海港都市。金などがムスリム商人によって交易された。 

 アフリカ東海岸、現在のモザンビークに含まれ、内陸部からこの地に運ばれた金はさらにキルワなどに運ばれてムスリム商人による重要なインド洋交易圏の貿易品とされていた。「ソファラ金」ともいわれるこの金は、内陸部のジンバブエ(旧ローデシア)にあったモノモタパ王国で産出したものが交易され、ここまで運ばれてきたものである。
 15世紀末にバスコ=ダ=ガマ船団が来航し、1505年にポルトガルの派遣したアルメイダの指揮する艦隊に占領され、城塞が築かれたために急速に衰え、ポルトガルの植民地支配を受けることとなった。
 

 


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