夏目漱石は、<河豚(ふぐ)汁や死んだ夢見る夜もあり>と詠んでいる。美味を安全に味わうことができる現代に、感謝したくなるが、『虞美人草(ぐびじんそう)』では、そのおいしさと危うさに「うそ」を重ねた。<其場(そのば)限りで祟(たたり)がなければ是程旨(これほどうま)いものはない。然(しか)し中毒(あたっ)たが最後…>▼自民党の塚田一郎国土交通副大臣が「事実と異なる」ことを言った、と謝罪した。山口県下関市と北九州市を結ぶ道路の整備を巡り地元の安倍首相と麻生副総理の意向を<私は忖度(そんたく)しました>とした発言である▼北九州市の有権者を前に心が高ぶったのかもしれない。私のおかげで整備が進むのだと言うのは政治家としておいしかったか。すぐに言葉がたたる。身内からも批判が出た▼弁解の余地は乏しそうである。その場の方便だったとしても、利益誘導そのものの発想をする人物であることが分かった。国交省の副大臣にふさわしいだろうか▼方便でないとすれば、問答は無用である。ネットで昨年の国会の会議録を検索する。森友学園と加計学園の問題で忖度が取りざたされていたころ、塚田氏は参院予算委で、首相の姿勢を問うていた。「政権が長期化していることで総理への忖度があったのではないかという声がある…どのようにお考えなのか」。約一年後に、同じ人物が、「私は忖度しました」と誇るように言った▼政権の長期化で、毒はまわってないか。
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