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今日の筆洗

2023年07月14日 | Weblog
バルト海は十七世紀、「スウェーデンの湖」だった。当時のスウェーデンは海を囲むように領土を確保し、交易で富を得ていた▼バルト海進出を熱望したのがピョートル大帝のロシア。徴兵制導入などで強兵に努め「北方戦争」でスウェーデンを倒し、バルト海の覇者に。強国の地位を得た▼沿岸に建設され、新首都となったのがサンクトペテルブルク。この古都出身のプーチン大統領は以前、世界で最も尊敬する指導者を英紙に問われ、ピョートル大帝と答えている▼長く中立を旨としてきたスウェーデンが米国などを中心とする軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)に加わる見通しになった。同じように中立外交を続けてきたバルト海沿いのフィンランドも四月に加盟している。「NATOの湖」が生まれるのだろうか▼沿岸の二国が加盟を望んだのは、ウクライナに侵攻したロシアへの不信から。ウクライナをNATOに近づけまいと始めたともいわれる力の行使がかの海を波立たせたことに、プーチン氏は何を思うのか▼『ピョートル大帝とその時代』(土肥恒之著)によると、大帝の葬送では、文人が頌詞(しょうし)でこう讃(たた)えた。「彼は世界中にロシアの名を高からしめ、そしてロシアの栄光は終わることはないだろう。(中略)亡骸(なきがら)が我々に残されたとしても、彼の精神は生きつづける」。現指導者は後にどう語られるだろう。