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今日の筆洗

2022年02月07日 | Weblog

「火の用心さっしゃりましょう」。町内を回って火の用心を呼びかけていた旦那衆。あまりの寒さに番小屋で暖を取っていたが、そのうち隠し持ってきた酒を飲みだし、揚げ句はシシ鍋まで。もはや宴会である▼おなじみの落語の「二番煎じ」。志ん朝さんの名調子が懐かしい。大切な火の回りの務めもすっかり忘れ、宴会とはあきれた話。その現場を目撃した役人もとがめるどころか一緒になって酒を酌む▼英国に似たような話がある。「コロナの用心さっしゃりましょう」。そう呼びかけ、厳しいロックダウン(都市封鎖)で市民生活を規制しながら、自分たちは許されるのだといわんばかりに首相官邸で規制違反のパーティーを繰り返し開いていた。ジョンソン首相を含む首相官邸の職員らである▼感染対策の行動制限が求められていた二〇二〇年五月以降、官邸などで十数回のパーティーが行われたと伝わる▼人には厳しく自分には甘く。この件で首相の支持率は大きくダウンしたが、国民が腹を立てるのも無理はない。とがめられ、パーティーを仕事だと当初、言い訳したことも火に油を注いだ▼ジョンソンさんが尊敬するチャーチル元英首相の名言を思い出す。「私はアルコールに奪われた以上のものをアルコールから奪った」。酒の効用を語っているのだが、ジョンソンさんの場合は奪われたものの方がはるかに大きい。