東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2022年02月22日 | Weblog
<結構毛だらけ猫灰だらけ>…。映画の寅さんの啖呵売(たんかばい)の口上として有名だが、元は軽口とか無駄口と呼ばれる言葉遊びだろう。<驚き桃の木山椒の木><あたりき車力車引き>。その手と同じ、語呂合わせである▼本日、二月二十二日は猫の日だそうだ。猫の日と聞いて、<結構毛だらけ>が浮かんだわけだが、ネコが灰だらけになるのは、なにゆえか。あくまで推測だが、「かまど猫」と関係があるかもしれぬ▼家庭からかまど自体がなくなったので、「かまど猫」が消えるのも無理はないが、歳時記を見れば、立派な冬の季語である。寒がりなネコが暖を求め、かまどの灰の中でまるくなる様子を「かまど猫」というそうだ。それなら、灰だらけだろう▼「かまど猫」に『猫の事務所』を思い出すのは宮沢賢治ファンか。灰で薄汚れた「かまど猫」は同じ事務所で働く他のネコたちにひどく嫌われ、いじめられる▼コロナ禍の癒やしとしてネコを飼う家が増えていると聞く。ネコ関連の経済効果「ネコノミクス」は数兆円に及ぶそうだが「結構毛だらけ」ばかりではなかろう。飼いきれなくなり「かまど猫」のように嫌われ、見捨てられるネコの身の上の方も心配になる▼<何もかも知つてをるなり竃(かまど)猫>富安風生。人間に対するネコの不信のまなざしを感じさせる句だが、飼うのなら、最後まで面倒を。<あたりき車力>である。