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今日の筆洗

2019年06月21日 | Weblog

四人に一人は「やばい」という言葉を「とても素晴らしい」の意味で使う、と知って驚いたのは数年前の国語世論調査だ。言葉の意味は反対に転じることもある。英語の「グレート」という言葉にも、「偉大な」とは逆の意味の用法が生まれたのか。そんな疑問が浮かんでもおかしくない。トランプ米大統領が再選に向けて明らかにした新スローガンである▼「キープ・アメリカ・グレート」、「米国を偉大なままに」だ。前回選挙の「米国を再び偉大に」に呼応している。どうやら大統領は任期中に米国が偉大になったと考えているらしい。辞書通りの「グレート」である▼数々の国際的な枠組みから離脱した。イスラエルに大きく肩入れしている。同国では偉大と見る人もいるだろうが、他の国の人はどうか。メキシコ国境の壁も米国内の支持者以外に、偉大であると映るだろうか▼好景気は大きな功績だろう。ただ、お金の面で名を上げて、ほかで眉をひそめられる人は普通、偉大と言われない。逆だろう。国も同じである▼新渡戸稲造は、『真の愛国心』という文で、<我(わが)国民性に如何(いか)なる欠点あるかを省(かえりみ)るのが国を偉大にする一の方法でないか>と説き、世界への貢献が国の地位を決めると書いた。大正期から不変の「偉大」であろう▼頭の中にある辞書の米国という項目も、ここ数年で随分と書き換わったような気がする。

 
 

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