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今日の筆洗

2017年08月01日 | Weblog

 ネコが好きな方もこの特別なネコのことはあまりご存じあるまい。「アコースティック・キティ」という。直訳すれば「音響ネコちゃん」。残念ながらかわいい話にはならぬ▼実は米ソ冷戦時代の一九六〇年代、米中央情報局(CIA)が研究開発を進めていたスパイ用のネコである。ネコの体内に小型集音器と無線発信機を埋め込み、当時のソ連大使館に侵入させて、職員の会話を盗み聞きさせる計画。おっかないことを考える人もいたもので、改造ネコの手を借りてでもとは冷戦期の狂気の一断面か▼まさか、あの時代に後戻りするわけではあるまいな。このところの米ロ関係である。今度はプーチン大統領がロシア国内にいる米国の外交官を大幅に減らせと言いだしている。九月一日までにロシアから出ていけとは穏やかではない▼米大統領選挙への介入やクリミア併合を理由に米上院が対ロ制裁強化法案を可決したことへの対抗措置らしい。冷戦当時、両国の外交官数は同数とする原則があった。削減で米国にいるロシア外交官の数と同じにせよという要求は、どうしたって、あの時代の対立を連想させる▼あの機械じかけのネコの最後は悲しい。訓練の途中、道路に飛び出し、タクシーにはねられて昇天。その後、研究自体が莫大(ばくだい)な費用と見込めぬ成果に中止された▼世界中のネコたちよ。愚かな歴史を繰り返すなと鳴け。