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今日の筆洗

2017年08月11日 | Weblog

 筒井康隆さんは、毒舌満載の『現代語裏辞典』で「記者団」を、こう定義している。<答えてもらえないことがわかっていながら質問しなければならない気の毒な集団>▼ずいぶん皮肉な指摘だが、その通りである。疑惑の真相を政治家に問い質(ただ)しても、まともに答えるはずもない。徒労とも思える取材を重ねて事実を一つ一つ掘り起こし、これまた徒労のように、質問をしつこく続ける▼そういう「気の毒な集団」なのではあるが、政権のスポークスマンが記者団に向かって、こう言い放つのはいかがなものか。菅義偉官房長官が先日の記者会見の場で、加計学園をめぐる疑惑で質問を重ねた記者に言った言葉は、「ここ、質問に答える場所じゃ、私はないと思います」▼記者会見が質問に答える場ではないのなら、どんな場だと言うのだろう。官邸にある辞典で「記者団」と引けば、<こちらが言いたいことだけを国民に伝える便利な集団>とでも書いてあるのか▼きのう国会では自衛隊の日報問題が論議されたが、出席すべき稲田朋美・元防衛相は、与党の拒否で姿を見せなかった。記者会見だけでなく、国会での質問も軽くみられたものだ▼英国の保守政治家イノック・パウエル曰(いわ)く、<政治家が記者団に不平を言うのは、船長が海に不平を言うようなもの>。そんな船長が、不信感うずまく世論の荒波を、乗り切れるか。