「お疲れー!」
「お疲れー!!」
「おい。華は酒だめだぞ」
3人は、西一族の村でお店が集まる場所へとやって来る。
食堂が多い。
辺りは暗くなっていて、店の光が灯る。
この狩りに出た者たちは、だいたいここで集まっている。
ので
「耀(よう)、狩りどうだった?」
「うちの班はそこそこだよ」
「うちも獲れたけど、痩せてるんだよなー」
「そうそう」
「うちは小さいけど、数は稼いだ」
「何獲ったの?」
「兎よ。ね、悟(さとる)」
「おい。自慢にならないぞ、美和子(みわこ)」
「狩りの道具だけど、今度一斉に手入れをした方が良さそうだ」
「なら、うちもお願いしたい」
「狩りの合間に集まるか?」
大宴会のように、みんなで狩りの報告会。
好きなものを食べ、飲み
わいわいと、盛り上がる。
どこからか楽器を取り出し、音楽を奏でる。
「巧」
耀が、巧の横に坐る。
「お前、当分狩りは休みか?」
「いや、判らないけど」
なぜ? と、巧は首を傾げる。
「俺、頼まれた用事を少し片付けたいんだ」
「頼まれ?」
「そう」
「ふぅん」
巧は酒を飲む。
「それで、まあ、」
「代わりに狩りを頼む、てことだろう?」
「話が早いな、巧は!」
耀は笑う。
「負担にならないように、何人かには声かけてあるんだ」
「そう」
「お礼はするからな」
巧は、酒を注ぐ。
「お礼ってこれ?」
「いやいや。ちゃんと別に、な」
「用事って、どこに行くんだ?」
巧は首を傾げる。
何人かに、狩りの交代を頼んでいる。
つまり、一日二日の用事ではない、と云うことだ。
「ちょっとな」
「そんなに、長期遠出を?」
「あはは」
「笑い事じゃないぞ、耀」
いつの間にか、悟が横に立っている。
「用事でも、こまめに村に戻って狩りを手伝え」
「あー、やるやる」
「狩りの腕も落ちるぞ」
「次の村長は口うるさいなぁ」
「ふざけるなよ」
「ふざけてないって」
「悟、やめてくれ」
巧は口を挟む。
ここ最近、このふたりの雰囲気は良くない。
以前はそうでもなかったが
本当に、ここ最近。
同じ西一族でも、考え方が違うこともある。
そのわずかな衝突なのだろうか。
巧は耀に云う。
「俺は手は空いてるし、狩りは出るよ」
「ありがとうな、巧」
云いながら、耀は飲む。
悟は鼻であしらうと、他の席へと行く。
代わりに
「用事って何だ?」
「何々?」
向と華が、巧と耀の席に着く。
「ほら、巧食え」
「捌き立ての肉の串焼きは最高ね!」
「お前ら酔っているな」
「私は飲んでないけどー」
「酒はだめだと行ったろう、華!」
「用事ってほら、耀もついに結婚か?」
「きゃー!!」
「はは! 酔っ払いに話しても、右から左だろ?」
耀の仕草に、3人は笑う。
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