「おお!」
「これが、北一族の村!!」
久しく訪れていなかった北一族の村を、3人は見渡す。
並ぶ、たくさんのいろいろな店。
通りを歩くのは、多くの他一族。
「すごいわ!」
「すごいな!」
「北一族の村は、違うな」
「私、あの店見たい!」
「女は買い物が好きだよな~」
「いいじゃない」
「夕方の馬車に間に合えばいいよ」
「なら」
向が云う。
「お昼までは各自行動。昼食で合流で、いいか?」
「判った」
「了解!」
華は軽く飛び跳ねながら、進み出す。
「お小遣い、いっぱい持ってきたし……、じゃ、あとでね!」
「俺は、狩りで使えそうな道具がないか見てくる」
「向、華。気を付けてな」
人混みの中、
ふたりは、それぞれの方向へと消えていく。
巧はそれを見送って、歩き出す。
北一族の通りには、多くの食材が並ぶ。
肉、魚、野菜。
香辛料。
それぞれの一族の特産品。
織物、陶器、装飾品。
どれが本物で、どれが紛い品か、判らないが。
通りは賑わっている。
ふたりは、目的の場所にたどり着けただろうか。
巧は歩く。
片手には、手書きの地図。
北一族の村をよく知る、西一族の者に書いてもらった。
通りを逸れ、人が少なくなる。
巧はその地図の場所にたどり着く。
普通の一軒家のような、……店。
巧は、扉に触れる。
ためらう。
「…………」
と、
巧は扉を見る。
「開いてますよ」
中から声。
「どうぞ」
ゆっくりと、扉が開く。
「お入りください」
現れたのは、
頭から下まで、すっぽりと布を被った者。
目だけが、巧を覗いている。
けれども、にこりと笑ったのが、判る。
「西一族の方ですね」
「…………」
「何かご自身で、気になることが?」
巧は答えない。
占い師は、再度笑う。
「まあ、ここは占いを営む場所ですもの、そう云う方が来ます」
占い師は、席に案内する。
巧は部屋の中を見回す。
少し、薄暗い部屋。
何か、不思議な飾り。
小さな明かり。
巧の前には、……占いの道具。
「占いとは云いますが」
占い師が云う。
「私の場合は、魔法に近いものです」
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