TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

2020年末

2020年12月29日 | イラスト
そして、令和2年。

今年は怒濤の1年でしたね。

それでも作品連載続けられたり
新キャラもどしどし誕生したり

山あり谷ありでしたが
無事今年も年末年始を迎えることができます。



二〇二〇年
令和二年もあと少し

皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい

TOBA ともえ&ばしょ


イラストは新キャラ!!



「水辺よもやま話」

2020年12月08日 | 物語

人々が目覚め始め、
早い者はもう仕事に出掛ける時間。
圭はまだ夢の中。

僅かな稼ぎである西一族の民芸品を作っていて
昨日は遅くまで作業をしていた。

どうせ眠りを妨げる人も
遅い、と起こしに来る人も居ない。

意識は僅かに目覚めているが
体はまだ起きようとしていない。

誰が困るわけでもない。

もう少しこのまま。

このまま、ずっと、と
そんな時。

「ねぇ、外は良いお天気よ。
 寝ているのは勿体ないわ」

誰かに起こされるような感覚。

夢半ばの圭は、
それじゃあ仕方無いなと体を伸ばし
ゆっくりと起き上がる。

「………んん」

窓から差し込む光に

なるほど、
確かに今日は良い天気になりそうだ。

そう返事をしかけて気がつく。

今の自分を
起こしに来る人など居ないのに。

「夢、か」

あたりを見回して、
いつもなら少し虚しくなるけれど、

なぜか空気は澄んでいて、
急にお腹も空いてきて、
天気が良いなら
洗濯物もたくさん干そう、という気分もして。

そして、
本当に今まで誰かがそこに居て
圭の目覚めを待ってくれていたかの様な感覚。

「…………」

なぜそんな感覚がするのだろう、と
少し首を捻る。

今日は何かの節目の日だっただろうか。
思い出せないが
そうなのかもしれない。

出会った日だったか。
それとも
初めて手を繋いだとか、
逆に、口も聞かない大げんかをした、とか。

もしかしたら、
色々な困難が多かった自分達が

何事も無く、ゆっくりと、
心穏やかに過ごせた何気ない一日が
いつかの今日だったのかもしれない。

「ああ」

色んな事があったけれど、
きっとそう言う日もあった。

圭はベッドから這い出て、
もう今は居ない誰かに呟く。


「おはよう
 今日は、いい一日になりそうだ」