TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

2016年末

2016年12月30日 | イラスト




今年のはじめに
さりげなく、ブログの目標を書いたともえですが
残念ながら達成出来ず(笑)

全体的に、話数が増えているのが原因かな(^^;

「辰樹と天樹」は30話完結なので、残り1話。
「琴葉と紅葉」「涼と誠治」はまだまだ(笑)

なのに、新作を作りはじめているので
収拾がつかなくなってきております(^^;

と、云うことで
来年のともえの目標は、新作2作の掲載です。
なんとか、更新頑張ります!

来年も当ブログをよろしくお願いいたします。
よいお年を~


TOBA by ばしょ&ともえ

「ヨーナとソウシ」キャラ一覧

2016年12月27日 | イラスト
先週まで連載していた「ヨーナとソウシ」の
キャラ紹介です。

登場キャラを全員紹介したいので一覧で。

谷一族メンバーズ。



ヨーナ

谷一族
T.B.1976年生まれ

谷一族宿屋の看板娘。
背が高い。



ソウシ

谷一族
T.B.1976年生まれ

宿屋で働く青年。
両目が見えない。



ケンツァ

谷一族
T.B.1975年生まれ

卸屋の息子。
ソウシとは幼なじみで作中では「ケン」と呼ばれる。

最初は彼を主人公に話を書くつもりでした。



ミヤ

谷一族
T.B.1978年生まれ

ケンツァの妻。
最初は登場シーンがあるはずだったのですが。
書き直しを加えているうちに出番が。
名前だけの登場となりました。



ヨシヤ

谷一族
T.B.1976年生まれ

三つ目で司祭の息子。



マルタ

谷一族
T.B.1977年生まれ

ヨシヤの妻。
三つ目ではなく、一般の家から嫁いでいる。

「辰樹と天樹」29

2016年12月23日 | T.B.2017年

 辰樹は、東一族の村中を走る。

 ことが落ち着いたと、村中が動き出そうとしている。

 市場も再開に向けて、動き出す。

 辰樹は走る。
 天樹を探す。

 けれども、天樹はいない。

 息が切れる。

 畦道に入り、辰樹は立ち止まる。

 息を整える。
 地面を見る。
 汗が、流れる。

「……天樹」

 いったい、どこへ行ってしまったのか。

 まさか、
 ……まさか、本当に砂一族にやられてしまったのか。

 辰樹は首を振る。

「いやいや……」

 あの天樹だ。
 そんなことがあるはずがない。

 天樹より強い者がいるとすれば、宗主しかいない。
 辰樹は、自身にそう云い聞かせる。

 辰樹は、よし、と顔を上げる。

 と

 そこに

「……宗主、様?」

 辰樹は驚く。

 畦道の少し先。
 宗主がひとりでいる。

「なぜ、ここに。いや、……えっと」

 宗主は、辰樹を見る。

「あの。」

 肩で息をしたまま、辰樹は訊く。

「天樹が、砂にやられたと云うのは、」

 ……本当なのか。

 そう云おうとするが、言葉にならない。

 その場にいたと云う宗主なら、知っているはず。

 いや

 その場にいて、
 砂一族に手負いを追わせて、
 自身は何ひとつ傷を負っていない宗主、は、

 宗主は、仲間の東一族をどうしたのだろうか。

 辰樹の頭の中を、いろんな考えが浮かぶ。

 けれども、それを問うことが出来ない。

「天樹は、……天樹は、いったいどこに」

 辰樹は言葉を絞り出す。

「水辺」

「……え?」

 宗主が云う。

「水辺の方を探してみろ」
「水辺?」

「そこに、いるかもしれん」

「天樹が水辺に?」

 辰樹は首を傾げる。

「なぜ、……」

 辰樹の問いに、宗主は答えない。
 早く行け、と
 宗主の目が云っている。

 考えている暇はない。
 辰樹は走り出す。

「もしいたら、病院に運んでやってくれ」

 辰樹の後ろで、宗主が云う。

 ――自分はあの子を救えないから、と。



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「ヨーナとソウシ」13

2016年12月20日 | T.B.1998年

ヨシヤとマルタは
強盗に襲われて命を落とした。

しばらくして、
ヨーナが村人から聞いた話。

その場には
ヨーナ達は居なかった事になっている。

「司祭様が握りつぶしたんだと思うよ」

「……司祭様って、
 ソウシのお父様、なの?」
「縁は切っていると言ったろう。
 僕は、望まれても跡は継がない」

絶対にね、と笑顔でソウシが付け加える。

「これからどうなるのかしら」
「司祭の家系以外から、
 三つ目を招くのかも知れない、
 それでも、」

「血が絶えるなら、
 そうあるべき物って事だ」

昼を僅かに過ぎた時間。
今日の宿泊客が来るには少し時間が空く。

宿の受付は静まりかえっている。

「僕、ヨシヤ達の子を
 引き取って育てようかと思っている」

ここ最近、ソウシが何かを言おうと
ずっと様子を伺っていたのを
ヨーナは知っている。

それほど大事な話。

言うほど簡単な事ではないのは
ソウシが一番分かっている。

「ヨーナのこと、
 ずっと待たせていたのに。
 こんな結果になってしまって」

「こんな結果って?」
「ヨーナとは結婚できない」
「私の事嫌いになった?」

まさか、と、ソウシは言う。

「だったら、その子、
 一緒に育てましょう」

「……いや、ヨーナ。
 無理だよ」
「無理ってなぜ?」

「あの子は僕にとっては甥っ子で、
 血のつながりがある。
 でも、君にとっては他人の子だ」

「そうね、でも
 最初からは諦めたくないわ」

ダメだよ、とソウシが言う。

「それに、
 ヨシヤが言っていただろう。
 特殊に生まれるって事は
 当たり前の生活は送れない」

止めよう、無理だ、と
ソウシは必死に否定する。

「ソウシ……怖いの?」

ヨーナの言葉に、
どこか納得がいったように、
ソウシが頷く。

「あぁ、そうだ」

「お前もこうなる運命だと
 見せつけられた気がした。
 ヨーナ、僕は」

「ソウシ」

言い聞かせるように、ヨーナが言う。

「ちゃんと、目を見て言って」

ソウシは目を開く。
唯一視力を持つ、額の瞳。

「……ヨーナ」

「ねぇ、きっと最初は上手くいかない事が多いわ。
 でも一緒に居ましょう」
「……」
「誓って」

「ヨーナは、諦めが悪いな」

「そうね、しつこいわよ、私は」

「それじゃあ、逃げられないな」

ソウシが笑う。

「ヨーナが諦める、その日まで」
「その時には、
 ソウシが私を諦めないと思うわ」

「分かった、誓うよ」

「………」

さっきから、
出るに出かねて、
宿屋裏口の外で、ケンは唸る。


「ヨーナからプロポーズしちゃったよ」


T.B.1998
ヨーナとソウシ


「辰樹と天樹」28

2016年12月16日 | T.B.2017年

「おい、何してる!」

 補佐の声。

 辰樹は、目を開く。

 そこに、砂一族が倒れている。

「一歩間違えれば死んでいたぞ!」
「いや、……」

 辰樹は肩で息をする。

 足下を見る。

 無数の針。
 先端には、砂一族の毒が塗ってあるのだろう。

 とっさに張った紋章術の防御壁で、身を守ることは出来た。
 そして

「お前、防御壁と攻撃の陣を使ったのか」
「……そうか」

 辰樹は自身で納得する。
 無意識に、ふたつの紋章術を使ったらしい。

 身体が重く感じる。

「大したもんだ」

 辰樹は補佐を見る。
 まだ、呼吸が整わない。

「辰樹、無理はするなよ」

 補佐は、鳥を呼ぶ。
 鳥に云う。

「医師様を呼んでこい」

 砂一族の手当てか。
 生死の確認か。

 それに答えるように、鳥が舞う。

「俺がここで砂を見ているから、お前も病院へ向かえ」

 辰樹は、目で頷く。

「大丈夫か?」
「ああ、」
「強力な紋章術のあとは気を付けろよ」
「判ってる」

 辰樹は補佐に任せ、歩き出す。

 その場を離れ

 病院とは違う方向へ。

 あの

 東一族の少女が倒れていた場所へ。


 辰樹は、地面を見る。


 血の痕。

 ここに、天樹の彼女が倒れていた。
 けれども、そこには誰もいない。

 辰樹は、病院へ向かう。
 中に入る。

 人を探す。

 この砂一族の件で、多くの怪我人が出たわけではないのだろう。

 病院はいつも通り。
 慌ただしいわけではない。

 医師が、辰樹に気付く。

「どうした、辰樹」
「人を探してて……」
「人?」

 辰樹は病院の中を、見てまわる。

 天樹は、いない。

「誰を探しているんだ?」

 再度、医師が声をかけてくる。

「お前は大丈夫だったのか?」
「俺は、何ともない」
「で、誰を探している?」

「天樹……」

「天樹?」

 ああ、と、医師は頷く。
 誰のことか理解する。

「ここには、運ばれてきていないな」
「なら、」
「誰かが、ほかで処置しているのかもしれん」
「砂一族の話だと、」
「何の話かは知らないが、砂の話は当てにならないぞ」

「……だよな」

「心配するな」
「判ってる」

 辰樹は、病院を出る。



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