TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

2017年末

2017年12月29日 | イラスト





ここで、恒例の
ともえ目標達成発表です(笑)

昨年の最後のブログで
今年の目標は新作2作品掲載! としましたが
達成です!
達成、一応!!

来年も頑張ります!

来年は、3曲弾けるようになります!(ピアノ)

あ、それは違う!

来年も新作2作品掲載です!

頑張ります!!
どうぞよろしくお願いいたします(^^)


TOBA by ばしょ&ともえ



「マジダとモモヤとアヅチ」

2017年12月26日 | 物語

「………そう言えば、
 そういう事もあったわね」

ふ、とマジダが言う。

「いや、いやいやいや
 マジダ」

と、弟のモモヤがツッコミを入れる。

「急に前回の続きです風に
 言われても!!」

そこは、南一族、マジダの実家。
美味しい料理と飲み物が並ぶ
年末前の親族一同の集い。

の、準備中。

「大体、お前今、
 あちこち出演しているから、
 どの流れ??って思うだろ」

そうだぞ、姉貴と
下の弟も続く。

「本館?別館?
 このシリーズか??」
「アヅチはちょっと静かに!!
 本館とか言っちゃダメぇええ!!」
「兄貴も出演とか言ってたじゃんか」

騒がしい弟達に
何を言っているのよ、と
マジダが言う。

「すべての流れに置いて、
 に、決まっているじゃない!!」
「おお」
「すべてを統べる者、マジダっ!!」
「次期村長候補!!」

はいはい~、と
母親のヤヨイが通る。

「みんな、奥のお皿も運んでちょうだい」

おっといけない、と
三人が立ち上がる。

「ごちそうだな母さん」
「そうよう。
 今日はせっかく皆さんが我が家に集まるのだから
 おもてなししなきゃ」
「あれ?父さんは??」

「アスカくんはね」

ほら、あそこよ!!と
ヤヨイが
もう肌寒さもある庭を示す。

「ハイっ!!セイっ!!
 テヤアアアアアアア!!」

「あそこで、お客様用の魚を
 捌いているわ。
 刺身盛りを作っているのよ」

あれは、刺身を捌く時に
出る声だろうか?と思いつつ。

「刺身、って他の一族は食べるのだっけ?」
「まぁ東一族は食べるんじゃない?」
「西の人は、生魚食べないって言うよね」
「その時は私達が食べるのよ」

ところで、と
モモヤ。

「おい、アヅチ
 マツバはどうしたんだ?」
「もう来るんじゃないのか。
 一度実家に寄って、
 親を連れてくるとかなんとか」
「そうか、結構今回、初顔合わせ多いよな」
「………初?だよな?」
「えぇえまさか、
 他の所でお互い顔見知りとか、
 あるわけ」
「あるわけ無いよな」

「そこ、無駄話しない!!」

お皿を2つ重ね、
そこにグラスを置きながら、マジダが言う。

へーい、はーい、と
仕度を進める声を庭で聴きながら
頭を抱えるアスカの助手(臨時)。

「お、刺身捌き助手どうした!!」
「いえ、なんでも」
「気になることは言っておくんだぞ、
 助手もとい婿殿!!」
「……婿殿言うのやめて」

いやぁ、と
彼は呟く。

「そう言えば、
 そんな事あったなぁって」

「なんだ急に
 前回の続きみたいに!!!!??」


T.B.????

南一族の村で
少し先のお話

「涼と誠治」22

2017年12月22日 | T.B.2019年

 涼は、山を登る。

 誠治はいない。
 ただひとりで。山を登る。

 涼は耳を澄ます。

 見えない目の代わりに。

 風の音。
 水の音。

 そして

 何かの話し声。

 ――餌はどこだ。

 ――天気は

 ――大丈夫。雨は降らない。

 涼は立ち止まる。
 その場に身をひそめる。

 ――向こうに怪我をした鳥がいる。

 ――喰えるか。

 ――喰える。

 涼はあたりを伺う。
 羽音。

 ――あいつは、山一族の手先だ。

 ――喰っても問題ないな。

 ――問題ない。

 ――いや、待て。

 ――…………。

 ――人間が、いる。

 涼は動く。
 草をかき分け、羽音の元へ。

 低木が揺れる。

 そこに、何かが引っかかっている。
 羽を広げ、足掻いている。
 傷付いた鳥。

 涼は近付く。

 その気配に気付き、鳥は威嚇するように、鳴く。

 涼は鳥を見る。
 首を傾げる。

 羽に人工的な色。

 つまり、どの一族かが飼い慣らしていると云うこと。
 このあたりならば

「山一族の鳥、か」

 涼は、鳥に絡まる枝を捕る。
 尚も、鳥は暴れようとする。

「大丈夫だ」

 折れた羽の手当をする。

「直に飛べるようになる。村の近くまで送ってやる」

 涼は云う。

「……山一族の村へ」

 ――西、一族

 ――西一族……。

 ――鳥を、助けた。

 涼の目の前に、もはや、あの鳥はいない。

 涼は歩き出す。

 さらに、山の奥へ。

 その後ろ姿を、

 多くの生きものが、見る。



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「涼と誠治」21

2017年12月15日 | T.B.2019年

「どこへ行くの?」

 ひとりで村の外へ向かう涼に、村長の妻が声をかける。

 涼は立ち止まり、振り返る。

 村長の妻は涼を見る。
 涼の手には、弓が握られている。

「ひょっとして、山へ狩りに?」

 涼は頷く。

「ひとりで?」
「そう」
「誠治はどうしたの?」
「誠治はいいんだ」

「いいんだって、……大丈夫なの?」

「何が?」

「あなた、目が悪いでしょう」

 涼は首を振る。

「そんなことはない」

「いいえ。視力はほとんどないと、医者が云っているわ」

「…………」

「目も見えないのに、どうやってひとりで狩りをするの」

「いつも通り」
「いつもは誠治なり、誰か班の人がいる」

 村長の妻は息を吐く。

「ねえ。あなたの目、いったいどうしたの?」

 涼は首を振る。

「生まれつき?」

「違う」

「じゃあ、……あなたの父親が?」

「父親?」

「そんな話を、あの人がしていたわ」

 村長の妻は、村長のことを云う。

「あなたの父親は非道い人だったと」
「そんなことを?」
「だってあなたの母親のことも、……」

 村長の妻はそれ以上云わない。
 ただ一言。

「非道いのね」

 涼は首を振る。

 村長の妻は、涼の肩にふれる。

「とにかく気を付けて」

「大丈夫」

「足下をよく見て!」
「大丈夫。慣れているから」
「何かあったら、すぐにうちにいらっしゃい」
「何かって?」
「困ったら、ってこと」

 涼は頷く。云う。

「ひとつ怖いことがある」

「何? 目が見えないことよりも?」

「耳」

「耳?」

 村長の妻は、唖然とする。

「何、訳の判らないことを云っているの」

 涼は弓を握りなおす。
 空を見る。

 そろそろ、山へ入っておきたい。

「天気は大丈夫そうね」

 村長の妻が云う。

「大きな獲物が獲れることを祈るわ」

 涼は頷く。

 歩き出す。

「行ってらっしゃい」



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