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「海一族と山一族」34

2018年02月13日 | T.B.1998年

海一族の長が、
名だたる者を引き連れて現れる。

「長!!」

ここだ、と
ミナトが手を振る。

「正体不明の者はこの奥に、
 トーマと山一族の者も後を追って」

森の奥へと続く道。

「恐れていた事が」

「あいつらは一体?」
「今の時点では何とも言えないが」
「浜辺で捉えた者は
 口を開いたんですか?」

彼らを追って先に場を離れた
ミナトは知らない。

「詳細を聞き出す前に
 隠し持っていた毒で自害した」
「な」

それが、事態の大きさを物語っている。

「トーマは、奴らの事を裏一族だと。
 それに、なぜ山一族が俺達の村に」

分からないことだらけで
ミナトは焦っている。

裏一族が、村に潜んでいた。
しかも自一族の者が裏に寝返り。

「本当に裏かどうかを調べるのは後だ」

「……無事でいてくれよ。トーマ」

行くぞ、と
長は引き連れた者達に目配せをする。

「………」
「ミツナ」

長の護衛であるミツグが
問いかける。

司祭候補の青年。

「大丈夫か?」
「うーん、
 相変わらず自分に関わる事は
 視えないな」

いや、と
ミツグは訂正する。

「おまえは大丈夫か。
 相手は裏一族かもしれない」

まぁ、そうだよね。と
少し青い顔をしながらミツナは言う。

「大丈夫だよ、ミツグ兄さん。
 急ごう。
 トーマの身が心配だ」


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