通信対戦ゲーム「ブルー・スフィア」のために潜水艇と海中建造物を手がけました。
このゲームは製作発表はあったものの、技術的な困難のため開発中止となりました。
当時のネット通信速度は、現在と比べてると非常に遅く不安定でしたので、通信対戦
ゲームの企画の多くが開発中止となったそうです。
●海底ドーム 1
ゲームでは、プレイヤーは潜水艇の搭乗者となり、様々な仕事をこなして報酬を
受け取ります。そうしてパーツや船体を買い換えて、より高性能な機体を手に入れる
と言うシステムでした。
海底ドームは、そのための根拠地として各所に設置されています。各種ドックと
生活のための機能や、場所によっては工場や採掘場がある場合もあります。
このラフは、あたりをつけるために好きなようにイメージ展開したものです。
●海底ドーム 2
ドームには、小さなユニットが多数集まった村型のものと、大きなユニットが少数
ある城型のものがあります。いずれもその地の歴史や地理的事情を反映した物ですが、
製作の事情としてポリゴン数を少なくする事が必須でした。丸や曲面はポリゴン数
を沢山必要とするので、出来るだけ控え、形も簡単にするように指示を受けました。
●海底ドーム 3
このドームは、少し変わった形を意図してデザインしました。
平面の海底にばかりドームが建造されているとは限らないと思い、崖の中腹や入り
組んだ隠れた場所にあったらドラマチックだと考えました。
しかし、海底のポリゴンの表現の関係で、オーバーハングした地形は不可能だと言う
事が判り、アイディアは没となりました。
●海底ドーム 4
このドームは、海溝の底部に設置された地熱発電所です。
架空の惑星ブルースフィアは、厚い海洋に覆われた海の星です。そこには独自の
生態系と惑星の地殻運動があります。私は、SF設定として、惑星が衛星と恒星の
潮汐力によって変形を繰り返す事による地熱の発生を考えました。地熱は海底の
熱水鉱床となって噴出し、その周囲に生物の生態系を形成するのです。
当然、その熱水を発電に使う事ができるはずです。
●海上ロケット発射場
先ごろ、ボーイング社傘下のシー・ローンチの海上ロケット発射施設オデッセイで
爆発事故がありました。メインロケット点火直後に爆発し施設は火に包まれましたが、
被害はほとんどなかったそうです。このような事態を想定して、耐爆仕様になって
いたのでしょう。
約8年前にも、私はその様な事を考えてこのようなデザインを描きました。
海中のフロート部から支柱でプラットフォーム部を支える形式は、波浪に影響され
にくいと聞いて取り入れたのです。オデッセイもこのような形式になっており、この型
は今後のオーソドックスな形になると感じました。
●軌道エレベーター基部
大規模な惑星開発の場であるブルースフィアには、数基の軌道エレベーターが設置
されています。その基部をどうするかを考えました。
海底までエレベーターシャフトを伸ばすかどうかは考えず、交通の頻繁な海面付近
がどうなっているかに関心がありましたので、そこをアップで描きました。
ブルースフィアの製作当時、青の6号の製作も発表されており、意識してデザイン
を進めたのを憶えています。元々、向こうはアニメで、こちらは通信対戦ゲームでし
たので、使えるポリゴン数に雲泥の差があり、アイディア勝負になると考えていました。
しかし、前述のようにゲームは開発中止になり、潜水艇のデザインは一部がサイト
で紹介されましたが、ゲーム上で動かされる事はありませんでした。
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