ヒヨドリの、餌場になってしまった感のある、
向かいの、みかん畑では、
実は、メジロも大活躍をしておりました。
玄関のドアを開くたびに、ヒヨドリは、その狩りを中止して、
一応は遠慮して、一斉に、飛び立つのですが、
メジロは、結構、図太いようで、全く気にする風もなく、
ひたすら、啄(ついば)み続けているのです。
昔、だれかさんの、学校の教科書に、
たぶんですが、寺田寅彦さんの随筆があって、
今は、どこを調べても、そうは書いていないので、
全く、自信はなくなってしまっているのですが、
ムクドリは、英国では、
グレイッシュブラウンバード、と呼ばれていて、
あまり、綺麗な色でもなく、見た目はよくない鳥である、
と書かれていたように、記憶しているのです。
そして更に、ムクドリには、
なんと、毒があると、書いてあったのでした。
これは間違いなく、そうなのです。
しかし、これは、本当に尤もらしい、人間の嘘だったのです。
土佐藩の、野中兼山さんという方は、
害虫を、しっかり、食べてくれるムクドリを、
「ムクドリは千羽に一羽の毒がある」と言って、
人間に、食べさせないようにしたのです。
ムクドリを、保護し、害虫駆除をするために、
そういう嘘を、言ったのでした。
昔から、害虫も鳥と人間も、複雑な関係で、
勿論、人間の傲慢さの下にではありますが、
共存していたのであります。
ヒヨドリや、メジロが、害虫を駆除してくれるのかどうか、
さらには、毒が、あるのかどうかは、知りませぬが、
ムクドリに限らず、害虫にしろ、生きているのですし、
元より鳥の立場、人間の立場、
いつの時代も、
いろいろ、あるものでございます。
玄関のドアを開け、随行の係が、やって来たら、
すぐに、出発できる体制で、このまま眠っている私を、
幸せそうだというのは、
いささか、人間の偏見、ではありますが、
それでも、そんなに大きくは、
間違って、いないのかもしれませぬ。
*左手出してスタンバイ、眠る私です