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フッサールの現象学

2008年09月21日 | 記事
最近買って時々拾い読みしている本がある。
竹田青嗣+現象学研究会「知識ゼロからの哲学入門」幻冬舎。
プラトンからデリダまで西洋哲学・思想家たちを
わかりやすく解説した本である。

どうしてこういうものを読んでいるかというと、
「協立」について考え福祉に接する中で
哲学や倫理学が参考になると思ったから。

さて本書からフッサールを紹介したい。
彼は、真理という存在を一旦保留しておいて、
人々の共通理解が客観になるのだという
現象学を提唱したドイツの学者。
一部抜粋すると…
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①自然科学や数学の領域では、「客観的な認識」は存在する。(略)
②だが、「客観的な認識」が成立しない領域がある。宗教、政治、人間の生き方(倫理観、価値観)、審美性など。これは人によってちがうということが、むしろ“原理的”。
③ここでは、対立を克服する方法は“ひとつ”だけ。「相互承認」と「相互理解」だ。「相互承認」は、この領域では、人の生い立ちや資質などで考えがちがってくるのが必然だということを、まずたがいに認め合うこと。それぞれの信念をたがいに受け容れ合って、押しつけたりしない。ちがうときには、距離を取って、尊重し合う。これは大人の人間関係の基本。
 次に「相互了解」。もっと分かり合いたければなぜそういうちがいが出てきたのかを“了解”し合う。相手が大事にしているものの「余儀なさ」がたがいに腑に落ちてくると、価値観のちがいは気にならなくなり、もっと別のところでよい関係が持てるようになる。
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現象学については学生時代に本を読んだことがあるものの、
わかったようなわからないような感じだったが、
今ではリアルに納得できる気がする。
(もっとも入門書だからだろうが)

何が正しい、どちらが正しい、のではなく、
相手の価値観を認めること。

もちろん言うのは簡単だが、
実際に歩み寄るのは難しいことだ。