446話)日向斜面のトネリコ

 遠くからみると、ほとんど植物がないようにみえる日向斜面(陽坡)でも、近づいたときの印象はずいぶんちがうものです。これは南天門植物園の陽坡のようすで、日陰斜面にはとうてい及びませんけど、日向斜面でも植生が急速に再生しつつあります。日向斜面にこれほどの植生があるのは、この地方では例外といっていいと思います。

 多いのはトネリコのなかまとニンジンボクです。このトネリコは中国語では「小葉白蝋樹」で、日本語に直訳すると「コバノトネリコ」ですが、日本のそれとは別物です。灌木性のようで、根からつぎつぎに萌芽し、多いものは1株で200本以上も茂っています。土壌浸食防止のためには、とてもおもしろい木です。

 成長は速くはありません。李向東によると、彼がみた最大のものは直径6~7cmあったそうですけど、私たちが敷地内でみるものは、樹高3メートル、胸高直径3㎝ほどが最大です。その最大クラスの年輪をみると、20年以上たっています。そのぶん、とても硬いようです。

 プロ野球のバットは木製で、トネリコがつかわれます。王貞治さんがホームランを量産したのが圧縮バットだったことは有名ですが、その後、圧縮バットは禁止されました。でも、天然の圧縮なら問題はないはず。このトネリコがそのような役にたつことはないのでしょうか?
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