077)新旧同居

 大同のこの10年の変化は急激です。90年代初め、私が最初にきたころは、市内の目抜き通りを馬車が歩いていました。自動車は少なく、交通信号もなかった。タクシーは外国人の泊まれる2つのホテルの前に数台ずつ。ノーメーターで、市内のどこに行くにも20元。「高すぎる!」「じゃあ乗るな!」の殺風景な会話を思い出します。
 ところがいま、朝夕は車の大渋滞。道路の拡幅も急ピッチです。それにあわせて中層のビルがずいぶん増えました。26階建ての4つ星ホテルの建設もまもなくはじまるそう。
 でも、さしあたり、それらの光景は表通りに面したところだけ。一歩裏通りに迷いこむと、市の中心部でもレンガ建て平屋の四合院がまだまだ残っています。なかには明清時代のものもあり、5百年もたっているんですね。タイムスリップしたような思いが、ふと湧いてきますが、石炭を燃やす煙突の黒煙は現実の生活の臭いそのもの。
 定宿の7階の階段の窓から、裏通りの光景をパチリ!撮影の途中で気づいたんですけど、このアングルだと、黄土を版築で固めた旧い時代の城壁がバッチリはいるんですね。明代の造営だそう。数百年の歴史が1枚のスナップにおさまってしまうのも、歴史名城・大同ならではのことでしょう。新しいものができることを否定はできませんけど、旧いものが失われるのも、また悲しい。
  (2005年6月25日号)
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