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熊本地震

熊本地震について書く。


熊本地震でわが家は大丈夫だろうかという不安を持った方は多いかもしれない。

何しろ震度6クラスが何度も発生したわけだし、度重なる地震(余震)なんて言葉がテレビでよく使われていた。

建物の耐震基準は、極めて稀に発生する地震(数百年に一度程度の頻度)でも倒壊しないレベルとされている。

つまり、度重なる地震でも倒壊しないという基準ではない。

Eディフェンスの実大実験をみればよくわかるが、補強して耐震評点1.0以上を満たした木造住宅も何度か揺らせば倒壊している。

極端な話、1度目の地震で助かればよいという考え方なのだろう。

TOUKAI-0事業で頻繁に耐震補強を手掛けた時期があったが、よく使ったのがSDU-Wという補強壁だった。

今でもこの製品を採用したことは適切な判断と思っているが、この製品を使おうと思ったきっかけは、中部大学で行われた実験だった。

度重なる地震を想定して採用したわけではないが、自分の目で効果を確認しなければなかなか使う気ならない。
きたるべき東海地震に力を発揮すると思っている。

この際なのではっきり書くことにするが、Eディフェンスや大学で行われる耐震実験というのは、何度か見学したほうが絶対によい。

特にEディフェンスは、実大実験なので地震の揺れで建物がどう揺れるのかをしっかりと目と耳で確認できる。

ここで得られる情報量は、ビデオ映像や写真などよりはるかに質量ともに価値がある。

以前にも書いたが、受け身で得られる情報というものは大抵価値がない、自分が攻めの姿勢で得た情報は大抵価値があるという考え方に私がなったのもこれまでの経験がもとになっている。

そういえば、中部大学での実験後に開発にかかわった先生の講義があり、その中で「耐震」「制振」「免振」の違いを分かりやすく説明してくださったことがある。

以前にここで紹介したことがあったような記憶があるが、あらためて書くことにする。



まず、「住宅」を「水槽」と考え、水槽に入れる「水」を「地震」と考える。

水槽の大きさが耐震性と考えれば、水槽の大きさよりも入れる水のほうが多ければ溢れてしまう。

つまり、建物が倒壊するということだ。

では、水が溢れないようにするためにはどうすればよいのか。

方法はいくつかある。

まずは、水槽そのものを大きなものにしてしまうという方法①。

これならたくさんの水が入っても溢れない。

ただ、何度も水を入れたらいつかは溢れてしまう。

他には、水を入れても溢れないように排水口をつけてしまうという方法②もある。

洗面器などに用いられている溜めた水が溢れないように一定の水量までくると、水を逃がすことのできる穴(オーバーフロー穴)をイメージすればわかりやすい。

ただ、穴が小さく、ものすごい大量の水を矢継ぎ早に入れたら溢れる可能性はある。

ならば、いっそのこと水槽の中に水を入れないようにしっかりと蓋をしてしまえばいくら水を入れてもそもそも水槽に水が入らないので溢れないという方法③も考えられる。



ここまで書けば話がみえてくるかもしれないが、方法①が耐震で方法②が制振、最後の方法③が免振の考え方、らしい。

静岡県が10年以上前から取り組んでいる耐震事業は、基本的に小さい水槽を大きな水槽に変えるという行為といえる。(中には②の方法を採用しているところもあるだろうが)

ここまでの流れだとでは度重なる地震では免振がもっとも効果的ということでよいかという話になりそうだが、水槽の上に置く蓋がずれていたら水が入るので、きっちり蓋をする必要があり、それはすなわち免振が極めて高い技術を必要とすることを意味しているのではないかと、私個人は解釈している。そもそもコストが高いという点も忘れてはならない。

熊本地震から単に①だけでなく、②も加えながら対応していくという方法がスタンダードになるのではないかと思うし、すでに新築については取り組んでいる会社も多い。

既存住宅への耐震補強についても同じ流れになると思うが、残念なことに制振効果といった地震の揺れを小さくする効果を数値で示すとなると、減衰性を反映できる計算法を使わなければならない。

私はこういうこなると予想していたわけではないが、早めに手を打っておいたのでよかった。

そういえば、仕口ダンパーのことを調べている方が、このブログにたどり着くケースが多いようだ。

しっかり仕口ダンパーについてこの場でいつか書きたいと思う。

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最近の現場



宗高の増改築現場は今週中には大工工事が完了。
外壁も明日までに張り終える予定。

来週末にはほとんど完成予定ですが、天気予報が少し心配です。



こちらは5月上棟予定の新築現場。
地盤調査の結果、地盤改良を実施することになりました。

無事地盤改良は完了し、現在は基礎工事中。





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来月上棟予定の新築住宅



来月上棟予定の新築住宅のイメージ図。
屋根は和瓦で外壁はINAXのタイルです。

和風住宅でもなく、洋風住宅でもなく、和洋折衷でもないものを意識しています。

軒裏は板張りとしているので当社の事務所外観に雰囲気的には似ているかもしれません。

ちなみに以前にも書きましたが、当社の新築住宅は、耐震等級3(最高等級)。
きちんと評価書を引き渡し時に提出できるよう事前の設計審査も終わっています。

耐震等級3ですと地震割引が50%。
今の時代、地震保険は必須ではないかと思えるくらい地震への備えが重要視されています。

耐震等級3の取得は新築住宅であればそれほど難しくもコストが大幅にアップすることもありません。
(私が手掛けた過去の物件での経験談ですが)

お客様にとってはメリットが大きい存在といえます。
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研修旅行

4月15日、兵庫県にある中山寺で五重の塔を木造で新築していると聞き、見学させて頂くことにしました。
(大阪府建築士会主催の見学会に参加)

取引している瓦業者とお世話になっている相良にあるお寺の住職と一緒に車で移動。

みなさん歴史的建造物の知識が豊富なので大変レベルの高い会話が多く、私も話についていくのが大変という場面も多々ありました。
特に瓦業者の瓦の知識量には脱帽です。



写真は竹中工務店の大工道具館。
中山寺付近に予定より早く到着したので明日向かう予定でしたが前倒しで向かうことにしました。
ここは以前から行ってみたいと思っていたところです。





建物外観がとにかく素晴らしく、とても参考になりました。
この外観を新築住宅で取り入れたいと思っていたのですが、ようやく実際に見学することができました。





中は様々な展示物があります。
茶室の躯体展示はとても参考になりました。

次回はじっくり見学したいものです。





竹中大工道具館から中山寺に直行。

中山寺は、とても大きなお寺です。
五重塔の寄付をお願いする看板などもありました。
私がなぜ見学したいと思ったのかというと、木造の五重塔を新築するためにどのような許可手順だったのか、構造検討や意匠検討でどのような苦労があったのか、実際の現場状況はどうなのかをしっかり自分の目で確かめたかったからです。



この写真は五重塔の素屋根です。
中に五重塔があります。
中は撮影してもよいのですが、ネットでの公開は禁止。

設計者の話もたくさん聞くことができました。
木造で五重塔を新築したいというお寺側の考え方も知ることができ、足を運んで本当によかったなと思っています。
付近に加工場があり、棟梁の仕事も見学できました。

一緒に参加した瓦業者もご住職も大変建築に詳しい方で、その知識に圧倒されました。
一人旅では得ることができなかったことばかりです。

また、解説してくださった方も親切で、とにかくいろいろ惜しげもなく見せてくださったことに感謝です。

私はこういう研修旅行を企画する場合、かならず目的を明確にし、その旅行で得たものは今後に活かせるようにしています。
そうでなければ単なる旅行になるからです。

車中では熊本地震の報道ばかりみていました。
今回の研修旅行で得たものは多く、今後の仕事に活かせるものばかりだったので大きな収穫といえます。

翌日、4月16日についてはまた別の機会に書くことにします。

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木製スロープ(塗装工事未完了)



相良にある般若寺というお寺に木製スロープを設置。
この般若寺というお寺は、私が高校生の頃からお世話になっているお寺です。

ご住職から木製スロープのご相談を頂いたのは去年のこと。
当初は別のところに設置する予定で、高さも1mほどあったため、スロープ長さも10m以上ありました。
しかしご住職の希望で予定変更となり、ご住職所有の古い材木を使用して、別の場所に設置という内容になりました。

雨やお寺の法事などから工事ができたりできなかったりが続きましたが、明日の花祭り前に未塗装部分がありますが使用はできるところまでは終えました。
ちょっとホッとしています。



この木製スロープは、長野にある善光寺に設置されたものを参考にしました。
以前ブログにも書きましたが、実際に足を運んで調べています。

とにかく支給された材木が古材で加工や取付に苦労しました。
塗装は住職が担当しています。
ただ、まだ全部塗装しきれていないので、後日私も手伝う予定です。

塗料はガードラックアクアという水系木材保護塗料を採用。
1回塗りでリフォーム用ということで素人でも塗りやすいかなと思って勧めました。
(余談ですが、ガードラックラテックスと随分と悩みました。)



スロープの勾配は1寸。
高さは約60㎝です。結構緩やかで高齢者の方でもあまり負担なく使用できそうです。

善光寺のスロープを現地で正確に採寸し、それを元に般若寺用に改良したものなので、形としては結構似ています。
加工時や取付時に善光寺のスロープはよく考えているなぁと思うことがありました。
参考になる実例があってよかったなです。

何もない状態でお寺に木製スロープを製作するとなるともっと大変でした。
今回の経験を活かし、木製スロープを別のお寺でも取り付ける機会があるといいなと思っています。
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