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法華寺本堂修理、629日間の感謝と苦悩



法華寺本堂修理工事完了検査が2月22日に行われ、無事合格しました。
3月1日から一般公開されます。

着工が2018年6月3日。
完成が2020年2月20日。

計算すると629日間。
この629日という日数を一言で表現するならば感謝と苦悩の日々だったと思います。

まず、法華寺様への感謝の気持ち、このような仕事を手がける機会を頂けたことへの感謝、それは常にありました。

そして、この仕事を私が手掛けることができたのは、これまでのお客様のおかげだと思います。
特に孤雲院様、高徳寺様、般若寺様の工事がなければ、間違いなく法華寺を手がけることはできなかったでしょう。
法華寺を手がける以前の経験があればこそ、でした。

一方で先ほど書いた苦悩が常につきまといました。

法華寺の修理では、何を決断するにも明確な理由・根拠が必要であり、複数の方への報告・相談・連絡と許可が求められることがほとんど。
さらに言えば、現場管理者としての立場のみに専念できない事情も多発し、私の業務担当範囲が飛躍的に拡大したことも原因として挙げられます。

これまで以上に朝早く夜遅い日々、休日もほとんどありませんでしたし、監修の先生にお会いするために滋賀県に何度も足を運びました。
ただ、苦悩はあっても後悔はありませんでした。
法華寺のご住職と檀家様のために自分が出来ることは全部出し切りたいと思っていたからです。

でも家族には沢山迷惑をかけたと思います。

私の妻は629日の間、私にとっては一世一代の大仕事を文句を言わないで支えてくれました。
のろけではありません。私にとっては間違いなく日本一の女房です。

妻だけではありません。
両親や弟にも沢山助けられました。
幼い息子たちにも大きな現場をみせてあげることができました。

何もかもが今となっては夢のような日々と何十年後かにきっと私は思うことでしょう。

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法華寺の工事で特に思い入れがあるのは、正面入母屋の部分です。

雨漏り改善のためには、どうしても現状を変更しなければならないため、破風の反りや登り裏甲などを変える必要が生じました。
この部分は少しでも気を抜くと依然と全く異なる外観になります。

これまでの法華寺の外観を極力損なわないようにしつつ、雨漏りを改善するためにどうするべきか。
具体的には、大破風をどう矧木するのか、登り裏甲をどう取替するか、この点を澁谷棟梁と協議しながら決めた過程は私にとって財産です。

この部分は原寸図も担当しましたが、この原寸図の経験は確実に今後に活かされるでしょう。

この原寸図を元に澁谷棟梁たちが作業している姿をみたときはうれしかったですし、うまく納まるのか不安でした。

図面や設計者に関する私の考え方ついては、後日書きたいと思いますが、一流の大工職人に設計者として認めてもらうということは大事なことだと思います。

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私は、ものづくりには、技術や経験というものがとても大事とは思いますが、その根底に誠意や熱意といった一生懸命さがなければよい仕事はできないと思っています。

これはこのブログで何度も書きました。

一生懸命というものが下地であり、その上に経験や技術という仕上げがあると思います。

だからこの一生懸命という下地を失った人はどんなにすばらしい経験や技術という仕上げがあってもすぐに崩れ去ってしまう。
この人は一生懸命な人なのかどうか、その見極めは本当に難しいと言わざるを得ません。

棟梁である澁谷さんや澤山さん、杉山さんという大工職人の二人と瓦を担当した河原﨑瓦店の3名の職人たちは、法華寺に対して大変な熱意と誠意をもって仕事に取り組んでいました。
これ以上ないというくらい一生懸命取り組んでいます。

いわば彼らのお陰でこの本堂はまとめられたと言っても過言ではないのです。

中には、過去の実績や経験に胡坐をかいてしまっていた業者もいました。
その場合は注意したり、仕事をやり直しさせたこともあります。業者そのものを変えたケースもありました。

私自身、大工職人から注意されたこともありました。
でも不思議と嫌な気持ちにはなりませんでした。
そういった声を大事にし、改善に努めました。
伊藤さんがこの現場で一番成長したんじゃあないのかと言われたこともあります。
確かにそうかもしれません。

一番困るのが私より立場が上でやる気が感じられない方がいた場合です。

何度も注意や忠告してもダメな場合はダメなんだなという教訓を得ましたし、そういった状況下でも腐らずに最善を尽くすことが大事と考えています。

とにかくいろいろありました。
それら全部私にとっては財産です。

完了検査後の夕食会では、住職や総代様からこれ以上ない労いのお言葉を頂きました。
監修の先生や市の担当職員からお褒めの言葉を頂きました。
こういう形で工事を終えることができて安堵しています。

この工事が後世にどう評価されるのか分かりませんが、記録だけはきちんと残していきたいと思っています。
だから厳密には法華寺本堂工事は終わっていません。

これからも続きます。

しかし、区切が一度ついたことは確かです。

3月1日から一般公開となります。

※写真は、法華寺と花沢の里をドローンで撮影したもの。法華寺と花沢の里の位置関係が空撮だと良くわかります。

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