深夜、カーテンの隙間から外を見下ろす。
片手には連射が撮れるようにセットしたカメラ。
電信柱に取り付けられた頼りない灯りが、かろうじて闇の底を浮かび上がらせている。
私の狙いは自宅から2キロ程離れた所で目撃されたと云う熊だ。
運良く前の道路を通ればスクープショットが撮れるかも知れない。
スクープ写真は新聞社やテレビ局で買ってくれるのだろうか。
それとも「タブタブさん撮影」とか名前入り?
色々な欲望を胸に、左右を何度も見まわして数分後…………飽きた。
熊どころか人や猫、キツネさえも通らないのだから面白くない。
根性無しのカメラマンは諦めも早い。
サッとベッドに横たわった。