私の父は、ほぼハゲだった。
それでも月に一度は近所にある馴染みの床屋へ通っていたし、きちんと櫛目を入れた大切な薄い髪をヘアースプレーでかためていた。
私が中学生の頃だったと思うが、私の沢山ある髪を見て、急に悔しさが溢れたのか
「お前だってツルッハゲになるんだからな」と叫んだ。
理由は、ご先祖様がハゲだったことにあるようだ。
「父方も母方もハゲばかりだったからお前も今から覚悟しておけ」と云うことのようだ。
ところが予言は外れて50歳、60歳とハゲずに無事通過。
最近、てっぺんがそれなりに薄くなってきたが、若い頃から「覚悟しておけ」と云われた言葉が記憶に残っているので、既に覚悟は出来ていた・・・・・・と思っていた。
先日、家の照明をLEDに替えて、今まで付いていた電球を捨てるのもモッタイナイので、高い位置にある戸棚へ入れようとしたら、中から見慣れないスプレーが出てきた。
何だろうと思ったら「育毛剤」の文字。買った記憶が無いので30年以上は前の品だ。
多分、ハゲの覚悟は出来ていたけれど何処かの店で見つけてつい買ったのだろう。
効くとは思わないけれど、昨日から風呂上がりにシュッと噴霧。
全く効くとは思ってはいないけれど、モッタイナイからね。
それに、もしかしたら少しは効くかもしれないし・・・・・