はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

トム・ヤム・クン!

2007-03-17 20:00:18 | 映画
「トム・ヤム・クン!」監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ

タイの激辛料理の名を授かったこの作品は、「マッハ!」でムエタイ旋風を巻き起こした同監督によるアクション映画だ。「マッハ!」であげた莫大な興行収入と慣れ親しんだスタッフ達による世界進出第1弾は、さすがの出来栄えとなっている。
タイの王族の戦闘象を守るムエタイ戦士の村に生まれたカーム(トニー・ジャー)は、水かけ祭の日に二頭の象を連れ去られてしまう。犯人の国際密輸組織を追ってオーストラリアのシドニーに飛んだカームは、現地のタイ人であるマーク(ペットターイ・ウォンカムラオ)、プラー(ボンコット・コンマライ)らと共に組織のアジトを突き止めるのだが、そこにはマダム・ローズ(チン・シン)率いる怪しげな用心棒と無数の私兵達が待ち受けていて……。
というのが基本のストーリーだが、正直そんなものはどうでもよい。どことなく織田祐二に似た顔のトニー・ジャー。この男のアクションにただただ圧倒されるのが正しい見方。神速のミドルキックや伸びる飛び膝。翻転自在の肘。象の形を模したという絡みつくような関節技などの派手な側面に加え、膝を踏み砕く、鎖骨を折る、腱を切るなどの情け容赦ないリアルな面も見せる一連の殺陣には、ブルース・リーにもジェット・リーにもない凄みがある。
さらにはワイヤーもスタントも一切使わない、トニー・ジャーならではの尋常ではないアクションの数々も見ものだ。タイの川での高速ボートによるチェイス。闇の料理店での4分間長回しの連続バトル。組織のアジトでの数十人にも及ぶ私兵とのサブミッションバトル。飛行するヘリからぶら下がる敵への飛び膝に至っては、言葉も出ないど迫力。それらを成し遂げたトニー・ジャーの体力、集中力、そして勇気に対し、敬意を表したい。経済政策の失敗と政情不安定で揺れ動くタイの現状を打破する力になれば……なんていうのは大げさかもしれないけど、すくなくともタイ国民が世界に誇れるもののひとつには違いない。

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