はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

のれんをくぐりましょ。

2012-08-17 22:34:20 | マンガ
のれんをくぐりましょ。
クリエーター情報なし
イースト・プレス


「のれんをくぐりましょ。」竹ノ内ひとみ

 呑むことが好きで、食べることが好きで、それが高じて小料理屋のバイトになり、最終的には漫画家になった筆者による小料理屋本。
 なのでまあ、漫画としての面白さとか起承転結などというものは一切ありません。ただひたすらに、小料理屋の四季やハウツーを描き切った作品です。
 面白いかどうかは読み手次第。
 
 僕としてはかなり楽しめました。小料理屋という独特な業態には昔から興味があって。でも間口の狭さや情報の少なさから二の足を踏んでいたのですが、この本を読んで、意外な気安さや入りやすさに驚かされました。
 要は家庭料理に特化した居酒屋なんですな。居酒屋ほどに全方向に向いてなくて、人を選んで、あげく情報を発信してないもんだから一見さんお断りの雰囲気を作っていると。
 ネット全盛のこのご時世、なんの情報もなしに新規店舗を開拓するのは怖い部分もあって、だからこそよりマイナーな雰囲気を醸成していると。
 入るのに必要なのは、暖簾をくぐる勇気だけ。
 もちろん当たり外れはありますけれど、得られるものはそれ以上に多いかもしれません。
 一人で入るのが怖ければ、友達でも誘ってみては?
「自分達だけの隠れ家的な店」は、座していては手に入りません。
 
 

ギフテッドII

2012-08-08 11:37:51 | 小説
ギフテッドII (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキー・メディアワークス


「ギフテッドII」二丸修一

 天子峰の幹部候補生となった綾芽、弥助、エルの3人は、それぞれ上中下級の役職についていた。初仕事は綾芽に与えられたもので、彼女はパートナーに弥助とエルを選んだ。ちょうど1巻のラストとつながるところかね。
 んで、肝心要の任務の内容は、まさかの大統領選挙。内乱と外圧で揺れるナバサ共和国の大統領を3人の候補者の中から選び、勝たせること。敵は、同じく天子峰の上級幹部ケネス・ムビタと敵対企業連合体からの刺客・長良喜平。権謀術数に加えて純粋なる暴力まで駆使しなければならない真剣勝負に、果たして新米幹部の弥助たちは勝利できるのか……?
 
 まさか選挙でくるとは思わなかった。新鮮でいいけど、大丈夫かね? という不安も強かった。題材として難しいからね。
 金に汚い大富豪に、前大統領の道楽息子に、強硬派の堅物将軍。3者3様の立場や個性の違いが際立っていた良かった。戦い方に関しては、ディティールの甘さ、行間の狭さ、説明不足が目立った。やはり、この作者にはまだ早かったと思う。
 経験不足のせいか、綾芽はあまり活躍できなかった。エルはまあ平常運転。弥助への恋心に気付いた下りは○。今後に期待。
 で、弥助はというと、敵対相手やナバサ共和国の人々との関わりの中で急激に成長した。人間味が増すことは弱くなるということでもあると思うので手放しに賞賛はできないが、面白いキャラになりそうな感じ。ちょっとあっさりすぎるというか、本来なら何巻もかけてやることを1巻で一気にやってしまったのが不満ではある。シリーズ構成どう考えてるんだろうね? いきなり3巻で終了、打ち切りとかはないと思いたいけども。

人類は衰退しました のんびりした報告

2012-08-03 15:27:33 | マンガ
人類は衰退しました のんびりした報告 (IKKI COMIX)
クリエーター情報なし
小学館


「人類は衰退しました のんびりした報告」原作:田中ロミオ 漫画:見富拓哉

 最近放送中のアニメを面白く拝見しているので購入。
 設定準拠のオリジナル話のようで、原作既読の方でも楽しめるのではないでしょうか。ちなみに僕は原作未見。
 国連の回し者で、妖精さんと交流することがお仕事の、調停官の「わたし」がちっちゃな妖精さんたちと過ごす日々は、終始のんびりと穏やか。もう鳴らせないCDを鳴らそうと奮闘したり、不完全なレシピからマロングラッセを作ろうと試行錯誤を繰り返したり、ギャンブルにはまったり……常にべったりというわけではないけれど、「わたし」からそう遠くない位置に妖精さんがいて、彼ら(彼女ら?)との稚拙で素朴なコミュニケーションになごむ「わたし」になごむ、という図式がなかなかいい味出してました。
 アニメの「わたし」のような毒舌はないし、考えて見れば見た目もかなり違うので、あの「わたし」とは違う「わたし」なのかもしれませんが、これはこれでありかなと思います。
 個人的には、上手いとか下手とかいう次元を超越した独特の味のある絵のタッチが好きですね。水没した街とか、崩れたビルとか、意味をなさない電化製品の山とか、アニメでは表現しきれていない「衰退した」空気感を描ける見富さんに漫画を任せたのは正解だったと思います。大江千里とか森高千里とかシベリヤとか、時折挟む小ネタに同世代の匂いを感じたりもしますし……。