はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ゴミ箱から失礼いたします(1)

2010-09-29 19:36:21 | 小説
ゴミ箱から失礼いたします (MF文庫J)
岩波零
メディアファクトリー

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「ゴミ箱から失礼いたします(1)」岩波零

 ごくごく普通の高校生・小山萌太の平凡な日常は、ある日突然その姿を変えた。自らの内から沸き起こる「ゴミ箱の中に入りたい、いっそ住みたい、いや、ねがわくば……一つになりたい」というあり得ない衝動にかられた萌太は、妖怪ゴミ箱男として、これからの日常生活を送っていかなければならなくなったのだ。
 だが捨てる(ゴミ箱だけに)神あれば拾う神あり。クラスメイトの銀髪美少女・水無氷柱が、可愛そうな萌太の面倒を見ることを宣言する。聞けば、彼女は「妖怪変に頼られ女」らしく、困った妖怪を放っておけないんだとか。
 そんなこんなで始まった萌太の新たな日常は、様々なバカバカしい設定の妖怪に彩られた残念なもので……。

 MF文庫新人賞の優秀賞受賞作。文章はいまいちだが、噂に違わぬ奇抜な設定が面白かった。
 新種のやどかりみたいにゴミ箱に住む萌太の高校生活が、本当に大変すぎる。周囲の同情や侮蔑の視線だけでなく、ちょっとした階段の段差やその他日常におけるバリアフリーでないあらゆるものが敵になる様が笑えて良い。
 ツンデレ少女・氷柱とのほのかな恋の始まりや、クラスメイトの彩音がかけてくるちょっかいなど、おさえるべきところはおさえているし、続巻もあるということなので、期待していいのではないだろうか。

お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!(3)

2010-09-27 09:47:59 | マンガ
お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!(3) (アクションコミックス)
草野 紅壱
双葉社

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「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」草野紅壱

 実は血の繋がっていない妹・奈緒。幼い頃、恋人になる約束をしていたツインテール少女・彩葉。修輔をめぐる2人の少女の戦いは、激化の一途を辿る……。
 ある夏の日、奈緒と修輔は、仲良しグループの春ちゃんひろりんにも秘密で屋内プールに出かけた。2人だけの甘甘なデートになるはずのそこで、2人は偶然にも(?)春ちゃんひろりんを引き連れた彩葉と遭遇する。
 根っからの変態同士の奈緒と彩葉は、作り笑顔は崩さぬままに、修輔を間に挟んであれやこれやのハーレムプレイを展開する。
 2人に引きずり回されへとへとになった修輔。奈緒への想いを処理しきれぬまま、エロへの執着はおさまるところを知らない。衝動を抑えきれないある夜、コンビニでエロ本を買った帰り、修輔は謎の人物と出会い頭に衝突、購入した本を取り違えてしまう。本の内容は、男同士の絡みがメインの変態雑誌だった。
 翌日、修輔の下駄箱には手紙が一通入っていた。ミスターXと名乗る人物からの、それは脅迫状だった。
 正体はクラスメイトでクラス委員の優等生・近藤繭佳。ボーイズラブ好きな腐女子なのだが、修輔の秘密を奈緒にばらさないことを盾に、なんと修輔に自分の奴隷になれと要求してきて……?

 奈緒と彩葉の恋の鞘当てで押すかと思いきや、新キャラ登場の第3巻。
 それにしても面白いキャラだ。腐女子である反面、修輔に首輪をしたり、えぐい本を買ってこさせたり、かと思うと毎朝迎えに来てくれたり、手作り弁当を作って来てくれたりと、主従というよりは恋人関係に近い修輔との逢瀬を無邪気に楽しむ近藤さんの可愛らしさは、異常という他ない。
 まったくアクセルを緩めることのない変態性愛マンガ。願わくば、早く続きを!

乙嫁語り(2)

2010-09-26 08:03:38 | マンガ
乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)
森 薫
エンターブレイン

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「乙嫁語り(2)」森薫

 舞台はちょっと昔のモンゴル。少年(といっても成人)カルルクのもとに嫁いだアミルは、年上の姉さん女房。カルルクがまだまだ幼いので、夫婦というよりはお姉さんと弟にしか見えないのがあれだけど、それなりに2人仲良くやってきた。だがある日、アミルの部族の男衆がやって来て、アミルを返せと言い出した。なんでもヌマジという有力部族のところに嫁にやった一族の者が亡くなったので、代わりが欲しいらしい。
 無茶は聞けぬと突っぱねるカルルク側と、無理でも連れ帰ると聞かないアミル側の部族が、とうとう武力衝突を起こしてしまう……。
 そんな殺伐とした一面もありながらも、大モンゴルの風土は広大で、民俗は豊かで、娘さんたちの日々の暮らしや、カルルクとアミルのきゃっきゃうふふがほどよい加減で、ゆっくりのんびりした気分になった。日々ストレスに苛まれる貴方におすすめの一冊。

果断 隠蔽捜査2

2010-09-24 18:34:27 | 小説
果断―隠蔽捜査〈2〉
今野 敏
新潮社

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「果断 隠蔽捜査2」今野敏

 警察庁長官官房から所轄の警察署長に異動、つまりは飛ばされた竜崎だが、もちろん意識の高い人なので腐ったりはせず、今の自分だからこそできる理想的な署長を目指して日々努力を怠らない。その署長っぽくない無私無欲な勤労ぶりは、最初こそ周囲から奇異の目で見られたものの、所轄を揺るがす大事件の中で、徐々に受け入れられていく。
 事件、というのは検問を破った強盗事件の犯人が、拳銃を所持した状態で管内の飲食店にたてこもるというものだ。事件の成り行きに疑念の拭いされない竜崎は、警察庁の刑事部長・伊丹に署での指揮を任せ、自分は現場の指揮本部へと向かう。
 一方、良妻賢母を具現化したような竜崎の妻・冴子の身に危険が迫っていた。血を吐いて倒れ、緊急入院したのだ。
 管内で強盗犯人を取り逃がして立てこもられ、家庭では妻が倒れと、公私ともにぼろぼろな竜崎。だが、どんな状況でも彼は徹底している。警察官僚として、選ばれた人間として出来うる最大限の努力をするのみだ。

 警察官僚・竜崎の活躍を描いた異色作品の第2弾。
 ノブレス・オブリージュというのは高い身分の者に伴う義務のことだけど、竜崎にふさわしい言葉としてこれ以上はない。自分が難しい局面で物事を判断する立場にある事、責任の意味を誰よりも理解していながら、決して守りに入らない。その場その場で常にベストと思われる手を打つ。損得も署の面目もまったく抜きの最善手。周囲には奇異にしか映らないそれが、作中では効果的に描かれていて、どこかコミカルさを醸し出している。「踊る~」の室井管理官がガンガンいっている感じ、というと掴めるか。
 1巻でもそうだったけど、竜崎は家族関係もないがしろにはしない。いや、竜崎自身はないがしろにしているのだが、作者と状況がそうはさせない。長男の麻薬使用の次は、妻の入院。しかも実質的に家のすべてを仕切っていた冴子が倒れたことで、一気に竜崎の生活に支障が出る。食事が出てこない、どこに何があるかわからない、家に戻れば何もできない中年にすぎない竜崎の不安げな様が見れるのが面白かった。

サイレント・ブラッド(5)

2010-09-22 07:45:38 | マンガ
サイレント・ブラッド 5 (少年チャンピオン・コミックス)
神先 史土
秋田書店

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「サイレント・ブラッド(5)」原作:神先史土 漫画:太田正樹

 アベルを追って訪れた楽園島でカイン一行が目にしたのは、かつてカインとアベルが乗船していた、第一の感染爆発の起こった船・ノアだった。
 感染源の特定と、古来より伝わる放浪者の伝説、謎の女・成田由美の身の上、正気と、強力すぎるヤハウェの力の狭間で揺れるアベルの苦悩、カインの血に秘められたサイレント・ブラッドの能力……。
 
 すべてが駆け足だった。本来だったら何巻もかけてやるべきことを一冊に無理矢理まとめて、それが面白いわけがない。とくに最後の引きは最低。たしかに最近のハクレイは空気だったけど、ハクレイを生かせなかったのがこの作品の最大の失敗だとは思うけど、それでもこの扱いはないよ……。
 ということで、打ち切りです。1、2巻あたりが面白かっただけに、かなり残念。このコンビの次回作に期待。

とある魔術の禁書目録(3)

2010-09-21 15:30:37 | 小説
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈3〉 (電撃文庫)
鎌池 和馬
メディアワークス

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「ちょろっとー。なにやってんの、アンタ?」

「とある魔術の禁書目録(3)」鎌池和馬

 記憶を失っていることを隠しながらの上条の日常に、今日も火種が注がれる。
 今回は御坂美琴の話。学園都市でも数少ないレベル5能力者の彼女と、彼女のコピーである2万人の「妹たち(シスターズ)」。そして最強の能力者「一方通行」との終わりなき死闘の話。
 これは良かった。3巻まできてようやく楽しめた。話もインパクトあったし(2万人御坂美琴という構図を思いついたのがすごい)、1・2巻が似たような流れだったので、そのぶん新鮮さもあった。
 やっぱ御坂がいると締まる。正ヒロインがいると違うね(えっ?)。黒子も出たし、「レールガン」ファンも満足な出来。
 ところで一方通行さんの能力強すぎないか?
 あと、空気ヒロインズはどうでもいいんで、もっと御坂さんを登場させてください。

神明解ろーどぐらす(2)

2010-09-19 08:34:31 | 小説
神明解ろーどぐらす 2 (MF文庫J)
比嘉智康
メディアファクトリー

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「神明解ろーどぐらす(2)」比嘉智康

 長かったGWも明けた。ひさしぶりに下校ができる。そしてそして、祝日の無い日がこれから10週間も連続して続くのだ。これを祝わずして何を祝おう!
 ひたすらテンションの高い十勝と、様々な理由から下校を共にする女の子たちは、そんな日々の訪れを前に、それぞれ目標を掲げることにする。
 千歳の目標:高校3年間の目標を見つける。
 丹下の目標:小さな目標として、リスナーから寄せられた相談にすべて答える。大きな目標として、好きな人を見つける。
 さきっぽの目標:迷い猫を見つけて写真を撮る。
 十勝の目標:3人の目標がかなうよう協力する。
 4者4様の目標を胸に抱いた新たなる下校タイムは、丹下が十勝への想いを自覚したことにより、また別の意味合いを生み……。

 今回は丹下のターン。
 といいたいところだが、やっぱり一番目立っているのは千歳だった。超絶美少女なのにとことん後ろ向きで、人との距離間をとるのが苦手な千歳の振る舞いが、いちいちかわいすぎる。表紙も連続で飾っているし、描かれ方的にもメインヒロインなんだろう。個人的には千歳一押しだから、それはそれでかまわんのだけど、なんていうか、丹下が不憫すぎる。さきっぽは空気(おこちゃまだから)だし。そのへんのバランス、なんとかならないかな?
 まあ、面白いからいいっちゃいいんだけどね。4人の下校する姿は今回も楽しそうだった。いいなあ、青春。

羽月莉音の帝国

2010-09-16 08:34:25 | 小説
羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
至道 流星
小学館

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「羽月莉音の帝国」至道流星

 部活の名前は革命部。最終目的は建国。
 おかしなことを言い出したのは、巳継の幼なじみの莉音。幼少時より冒険家の父と共に世界中のあらゆる都市、あらゆる秘境を渉り歩き、頭脳は優秀、古流の武術の使い手でもあるわんぱく系の完璧美少女は、いつも突飛な行動に周囲を巻き込んで混乱させるのが常だった。
 にしても、今回のそれは異常すぎる。巳継、沙織、恒太ら幼なじみ3人衆に加え、謎の天然ちゃん・柚との5人で、学校の部活なのに「経済的成功から独立国家建国」まで目指す。しかもいきなり環境作りの投資に300万の借金まで背負いこむという全力全開ぶり。
 莉音の破天荒な行動は見慣れている巳継をしても、これにはさすがに驚きを隠せない。しかし、それ以上に驚いたのはその拡大ぶり。スクラップ集めや自動販売機でのジュース販売から始めた地道な商売が、沙織の美貌を生かしたコスプレ写真販売を転機に一気の大大大成功。会社設立から株式上場まで、一瞬も休むことなくフルスロットルを続ける彼らの明日はどっちだ。

「電撃☆SSガール」のラノベ版。まあ向こうもラノベっちゃラノベなのか。
 主人公たちが社会人かそうでないかと、DMサービスという具体的な業種ありきからスタートしているかいないかの差。これはけっこうでかい。各業界の穴をついての商売上での成功の数々が痛快だった向こうとは違い、こっちは沙織の外見を生かしたオタク商売におんぶにだっこすぎる。ある程度資金がたまってからはようやく落ち着いたものの、それまでははっきりいって見てられなかった。「電撃☆SSガール」と比較しても、あまりにも物足りなすぎる。
 キャラ相関もむごい。コスプレも目立つことも嫌いな沙織の泣き顔を「可愛い」なんていって勝手に萌えの対象にする莉音。大好きな巳継の側にいたい役に立ちたいという健気な気持ちもモーションも、持ち前の鈍感さでことごとく踏みにじる巳継。しかもこの2人がどうやらメインカップルで、互いにひかれ合うものがあって……。と、沙織かわいそうにもほどがある。正直腹が立った。
 経済上の成功から建国までの流れには興味があるが、2巻を買うかは微妙。ネット上の評判を聞いてからにしようかね……。

ドリフターズ(1)

2010-09-14 08:06:56 | マンガ
ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)
平野 耕太
少年画報社

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「ドリフターズ(1)」平野耕太

 関ヶ原合戦において命を落とした島津豊久が目を覚ますと、はるか昔に死んだはずの織田信長と那須の与一がいた。あまつさえそこはエルフやゴブリンが住む異世界で、漂流物(ドリフターズ)と呼ばれる豊久ら流れ者は、黒王を名乗る謎の人物の引き起こす大戦争に、知らず知らず巻き込まれていく……。

 かな? というところで一巻終了。なかなか面白かった。
 とくに戦争パート。土方歳三の剣技、ジャンヌ・ダルクの炎の魔法(火あぶりにされたからか?)、アナスタシア・ニコラエヴァ・ロマノヴァの氷の魔法(ロシアだからか?)が、カルネアデスの北壁と呼ばれる要塞に炸裂し、無数の兵士たちを粉微塵に打ち砕く展開には痺れた。
 先にも書いたように、いずれ訪れる豊久らとの戦いが楽しみ。ワイルドバンチ強盗団とかハンニバルとか、零戦操縦者とか、節操のない有名人たちの連打も良い。平野耕太らしい、非常に自由な作品だ。

チャンネルはそのまま!(2)

2010-09-12 18:12:29 | マンガ
チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)
佐々木 倫子
小学館

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「チャンネルはそのまま!(2)」佐々木倫子

 札幌のローカルテレビ局、北海道☆テレビの新入社員・雪丸花子が、配属された報道部で遭遇するのは、緊迫した事件現場でも政界にまつわるスキャンダルでもなんでもない、しごく身近な事件ばかりだ。北海道☆テレビのマスコット・ホシイさんの補助。同じ部の人間の素行調査。偽札の出た自販機の特定。市町村合併を控えた町の人々へのインタビュー。ミスコン・クイーンへのインタビュー……なんでもない仕事を大きなトラブルに変え、周囲からの笑いと顰蹙を誘う雪丸の活躍が、今回も光る。
 もちろん、雪丸だけではない、脇役たちの存在感のでかさとコミカルさもこのシリーズの特徴。いざとなればホシイさんの中に入ることも辞さない捨て身の広報部長。刑事大好きすぎて、日常生活が怪しい報道部の道警担当キャップ・長田。新人のくせにベテランにしか見えない編成部の北上くん。視聴者の心に届かない予報に悩む気象予報士・降谷。万事にソツがない冷静メガネの山根。個人的に一押しの花枝さんの登場シーンが少なかったのが残念だが、今回も脇役たちのしっかり濃いめの味付けを堪能させてもらった。