えー、被災しました。現在郷里に疎開してます。更新再開の目処はまだたっていません。取り急ぎ携帯より。
![]() | 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈4〉絆の支柱は欲望 (電撃文庫) |
クリエーター情報なし | |
アスキーメディアワークス |
「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4)絆の支柱は欲望」入間人間
ふとしたことからみーくんを認識できなくなり、自我が崩壊して入院したまーちゃんを元に戻すため、菅原のほうのみーくんとまーちゃんの思い出の品を探すことにしたみーくん。しかしこれがなかなか難しくて、探索行は、流れ流れて旧みーくん邸にまで及ぶこととなった。あの事件から数年が経ち、もはや事件の関係者のひとりもいないそこには、謎深き大江家が住んでいた。
「あの事件」の関係者の来訪を喜ぶ大江景子の招きにより、一宿一飯の恩を与えてもらうこととなったみーくんと伏見柚々(何故か同伴することになった)。朝目覚めた彼らの耳に飛び込んできたのは銃声と悲鳴。大江景子が死に、玄関扉が壊されていた。すべての窓には堅牢が鉄格子がはめ込まれ、外部との連絡手段である電話線は切られ、みーくんの携帯はトイレに水没させられていた。
これは……クローズドサークル!?
叫んでも誰にも聞こえない郊外の住宅に閉じこめられたみーくんと伏見柚々の、生き残りをかけた戦いが今、始まる。
おお……なんだこの柚々の可愛さは? 初登場だった前巻から薄々そうじゃないかとは、ていうかむしろあからさまにそうだったと思うのだが、彼女はみーくんのことが好きで、それが故にのこのこ大江家まで出ばってきて事件に巻き込まれることとなるのだが、その恐がり方やいじましさやみーくんへの懐き具合が異常に可愛すぎた。元々まーちゃん派ではない僕としては、思わずこっちでいいよと首肯してしまうほど。これだけでも見る価値がある。まだ上下巻の上巻だけど。
さて、クローズドサークルものということで、ばんばん、というほどではないが、キャラは死にまくります。大江家の人間は、お手伝いに至るまでキャラの立った癖者揃いなのだけど、それがあっさりとなんの執着もなく殺されていく様がちと恐ろしい。夫の耕造が無能力の無職で、資産家の令嬢である妻の景子のお金に頼っていて、子供たちを一歩も外に出すことなく家の中だけで育てている。歪んだ家庭の崩壊の原因は次巻にて。
![]() | 紅 kure-nai 1 (ジャンプコミックス) |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
「紅(1)」原作:片山憲太郎 漫画:山本ヤマト
幼き日、テロ事件で家族を失った紅真九郎は、とある事件で知り合った紅香という女性に導かれ、裏十三家の一家・崩月家の内弟子になることで鍛えられた。年齢はまだ高校生だが、紅香を真似るように揉め事処理屋となり、様々な事件の裏で活躍している。
……まあなんか、恥ずかしくなるほどベタな設定なのだが、意外と読めた。むしろ面白かった。なぜかって、それはたぶん、主人公の周囲の人の優しさが空気に滲み出ているから。幼なじみで情報屋の銀子。養女だが自称真九郎の嫁なお嬢様・九鳳院紫。指導している時は厳しいが、普段はデレデレな崩月夕乃。無心に真九郎を慕う崩月散鶴。ハーレム要因たちの雰囲気がすごく良かった。もともとは「電波的な彼女」がらみのストーリーだというだけで手に取った本だったので、これは嬉しい誤算。既巻全部買っちゃおうかなあ。
![]() | 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3) |
クリエーター情報なし | |
メディアワークス |
「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(3)死の礎は生」入間人間
無事? 退院したみーくんとまーちゃん。血みどろの戦いから離れて束の間の平和を満喫……したりは当然できない。いや、まーちゃん的には平和なのかもしれないけど、みーくんの日常は理不尽に危険がいっぱいだった。まーちゃんに殴られたり刺されたり小指に穴を開けられて無理矢理赤い糸を結ばれたり。それでもまーちゃんの笑顔で癒されて、なんとかバランスを保っていた。
ところへ、再び殺人事件が起きた。被害者は同級生。偶然現場近くに居合わせたみーまーの目の前に現れたのは、幼き日に失踪したまま死んだと思っていた妹。当時から動物殺害を趣味としていた彼女の手には、血塗れのバットとナイフが握られていて……。
「電波女と青春男」の作者とは思えない、って毎回書くけど、やっぱり何度読んでも信じられない。それくらい、まったく違うお話。電波人間大集合、な感じはおおむね合ってるけど、そいつらが基本暴力的で人殺しを屁とも思ってないあたりがすごい。主要キャラ? と思っていたキャラが情け容赦なく退場するあたりもさすがの切れ味。ちなみにほめ言葉。
ストーリー的には若干の謎解き要素あり、ラブ(意外とみーくんてハーレムマスターよね)があり、スプラッターありで、そこに入間人間成分を振りかけた味を想像してみて、親指立てられる人にはおすすめ。
シリーズ的には1巻で出てた池田兄妹が再登場してきて嬉しかった。杏子かわいいよ杏子。
![]() | ミル 1 (ビッグコミックス) |
手原 和憲 | |
小学館 |
「ミル(1)」手原和憲
佐賀の実家を出て、東京のアパートで一人暮らしをしている大学生・アキのもとに、突如風呂敷包みを抱えた女子高生が転がり込んできました。その女の子の名はミル。驚くべきことに、1923年生まれの化け猫だったのです……。
化け猫との共同生活。
今日日珍しくもなんともない設定だけど、それが86歳のおばあちゃん猫となると話は違ってくる。掃除洗濯料理と家事一般に秀で、べたべたの佐賀弁を操り、本物のおばあちゃんのように優しく真面目で気配りのできるミルとの共同生活は、ほっこり温か。見た目が可憐な女子高生なので、ギャップによる悶死も頻繁。長生きする異形としての切なさの表現もあったりと、受け皿も広い。最初から最後まで、とても楽しく読ませてもらった。
とくに良いのは、ミルがバイト先の総菜屋の看板娘になってるところ。自分の妹のような、おばあちゃんのような存在が社会に順応していく様を眺める嬉しさや寂しさやがないまぜになったこの複雑な感情は、ちょっと他の漫画では表すことのできない希有なもの。未読の方は是非。
![]() | 神明解ろーどぐらす4 (MF文庫 J ひ 3-10) |
比嘉 智康 | |
メディアファクトリー |
「おれはよ。千歳も丹下も、ついでにさきっぽも、おれの女だと思ってんだ」
「神明解ろーどぐらす(4)」比嘉智康
下校マニアの十勝。超絶後ろ向きな美少女・千歳。巨乳ギャル・まりも。美少女写真マニアのさきっぽ。4人の楽しい下校の日々は、ある夏祭りの夜に終わりを告げた。十勝に想いを告げた千歳が、直後自分の脳の中に住む三石留萌に乗っ取られ、十勝に無理矢理キスをして、自分とつき合え、さもなくば千歳の体を使って他の名も知らぬような男とつきあうと脅したのだ。しかもその光景を、まりもが目撃していたのだ。
というカオスな3巻を経て、4巻はもっとカオスになっていた。衝撃のシーンに心を痛めたまりも宅を訪れた十勝とまりもの胸の痛くなるような失恋トーク。千歳の意識が寝ている夜中に十勝を呼び出し、深夜の下校デートを重ねる留萌。留萌のことをまりもとさきっぽに明かし、留萌探しを求める千歳を責めまくるまりも。
そして、留萌という存在の謎……。
…………………………………………。
おう………………。
これは衝撃だった。留萌が意外と可愛いかったこと。その出自の壮絶さ。千歳に嫉妬するまりも。ボロボロになったまりもを慰めるさきっぽ。そして、すべての女の子に対する十勝の真摯さ。やっぱいい奴だ、こいつわ。
楽しい下校シーンはあまりなくて、このシリーズに対する期待としては叶えられていないのだけど、それでもけっこうじーんとくるいい話だった。事の元凶のゲスぶりには怒りを覚えた。そこの部分はあまりにもいらっときすぎて、流し読みした。4人の楽しい日々をぶち壊しにしたあいつとの直接対決の第5巻が待ち遠しい。
![]() | 神明解ろーどぐらす 3 (MF文庫J) |
比嘉 智康 | |
メディアファクトリー |
「神明解ろーどぐらす(3)」比嘉智康
うわーーー、やっぱりやりやがった!! 「ほーんてっど」の作家だからもしかしたらとは思っていたけど、やっぱりドロドロになったじゃないか、こんちくしょう!
と思っている人は多いと思う。「ほーんてっど」云々はともかくとしても、後半の部分はみんなそうだよね? みんな、ほのぼのにやにやな「ろーどぐらす」が読みたかったよね? なのになぜ・・・!
下校を楽しむことに青春を燃やし尽くす男・池田十勝を囲むハーレムメンバーは3人。スーパー後ろ向き美少女・千歳、「うちサイコー!」なギャル・丹下、大食い写真部・さきっぽ。そのうち、十勝への恋心に気づいてしまった丹下が序盤から攻勢をかける中、遅れて登場したメインヒロイン・千歳が横からかっさらう流れで、千歳好きな僕としては、心にしこりが残りながらもどこかほっとしていたのだが……だが……。なあああああぁんですかあの展開はっ!? だれがあんなのを望んでいましたかっ!! あんなキャラ登場させる必要がどこにあったっ!!!!
と、誰もが思うはず。みんな、十勝や女の子たちの変わらない下校風景を楽しみに読んでたはずなのに……。恋心に気づきながらも十勝の鈍感でかわしつつにやにやさせてくれると信じてたのに……。こんな、昼ドラも真っ青な泥沼にしてくれるとは……。