はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

マージナル(2)

2009-03-12 20:37:47 | 小説
マージナル 2 (2) (ガガガ文庫 か) (ガガガ文庫)
神崎 紫電
小学館

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「マージナル2」神埼紫電

 世間を、そして舞台である月森市を震撼させたバラバラ殺人事件を終わらせた摩弥京也に、しかし平穏な生活は訪れていなかった。事件の犯人「エクスター公爵の娘」を粛正したことで、猟奇殺人などの総合アングラサイトの管理人・ヴェルツェーニとしての名声が高まり、結果的に「クロウメモドキ」を名乗る人物よりコンタクトを受けた。「クロウメモドキ」は、殺人者と真人間の境界人間(マージナル)であり、月森市の暗部を支配するヴェルツェーニを牽制する為、大胆な告白を始めた……。
 憎からず思っている同級生の南雲御笠は依然として姉の死を、京也の真実の姿の存在に怯えているし、数年ぶりに再会した宇佐美風香は京也の変貌ぶりに怒り出すしで、実生活ではなかなか報われない京也。忘れたい昔の悪夢に苛まれ、本人も不眠症でボロボロ。唯一絶対的愛情を注いでくれる妹・蘭にも乱暴な言葉をつかって泣かせてしまうし、読んでいて辛い。
 フーダニットはあっさりで、「え、本当にその人でいいの?」と思うような人の家に乗り込む京也。残りページもわずかでどんでん返しもできそうにないし、どうするんだろうとはらはらしていたら、なんのことはない前後編でした。期待していたので良かった良かった。といって裏切られることもあるかもしれないけど……。
 地の文は相変わらず大仰な熟語の連発で、上っ面しか伝わってこなくて読みづらい。まあ境界人間である京也の苦悩と願望の板挟みという状況が面白いからそれでも読めるんだけど。
 今回は新キャラの妹の蘭がいい味出してた。ちょっとべたべただけど、全体的に辛い話の流れの中で、そこだけほっと一息つけた。絶対的愛情ってのはいい。家族でも友人でも恋人でも、その人がいるだけで救われる部分ってある。

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