僕が高校生をやっていた90年代前半は、バンドブームが翳り行く真っ最中の時期だった。といって、自分自身の実感として「バンドブーム衰退」なんて意識したことはなく、東北の片隅の田舎者は、ただ能天気に音楽を聴いていた。
なんと、今では考えられないけど、バンドなんてのもやっていたのだ。若い。
メンバーは僕も含めて男2人と女2人。流れ流れて最終的には男5人になったっけ。ギター、ベース、キーボード、ドラム、ボーカル。僕はボーカルを担当していたが、それは別に歌がうまいとかしゃべりが立つとかゆう理由ではなくて……単純に不器用だったのだ。恥ずかしいけど、その程度の理由だった。
思い起こせばメンバーのバンドに対する思い入れもその程度のものだった気がする。一度だけライブに出た後は、誰も次のアクションを起こそうとせず、いつのまにか解散していた。仲間同士の連帯感も希薄で、メンバーの顔を2人しか思い出せない。バンド名も正直覚えていない。
じゃあなぜあんな面倒なことをしたのだろう。青年男子が吹雪の中5人も集まって、汗を流しながら練習をして。
格好ツケたかった。
目前に迫った受験から逃げたかった。
自分の中にある不定形なものを表現したかった。
僕はここにいる。
ただ、純粋に。
そのことだけを思っていた。
なんと、今では考えられないけど、バンドなんてのもやっていたのだ。若い。
メンバーは僕も含めて男2人と女2人。流れ流れて最終的には男5人になったっけ。ギター、ベース、キーボード、ドラム、ボーカル。僕はボーカルを担当していたが、それは別に歌がうまいとかしゃべりが立つとかゆう理由ではなくて……単純に不器用だったのだ。恥ずかしいけど、その程度の理由だった。
思い起こせばメンバーのバンドに対する思い入れもその程度のものだった気がする。一度だけライブに出た後は、誰も次のアクションを起こそうとせず、いつのまにか解散していた。仲間同士の連帯感も希薄で、メンバーの顔を2人しか思い出せない。バンド名も正直覚えていない。
じゃあなぜあんな面倒なことをしたのだろう。青年男子が吹雪の中5人も集まって、汗を流しながら練習をして。
格好ツケたかった。
目前に迫った受験から逃げたかった。
自分の中にある不定形なものを表現したかった。
僕はここにいる。
ただ、純粋に。
そのことだけを思っていた。