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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ゆうやみ特攻隊(6)

2011-05-31 23:42:32 | マンガ
ゆうやみ特攻隊(6) (シリウスコミックス)
クリエーター情報なし
講談社


「ゆうやみ特攻隊(6)」押切蓮介

 黒首島に巣食う鉄一族と、彼らの信奉するミダレガミの魔手と戦う決意を固めた翔平。なんとか花岡隊長を救出したものの、さすがの彼女も前巻での痛めつけられ方が半端ではなく、まだ完全復調とはいいがたい。
 一方で、萌・紗由・執事の黒井・うわばみ隊数名は、島の中枢で、鉄一族の要・翠・龍生と遭遇。戦闘になるが、うわばみ隊は翠の魔眼であっさりと全滅。さすがの黒井も、一族最強の龍生の前には逃げるしかなく……。

 様々な人間の思惑が絡み合い、複雑になってきた。押切蓮介の描くキャラは見分けがつきづらくて、読んでるとだんだん混乱してくるのがさらに困りどころ。 
 それはもとより、相変わらず面白い。黒首島に住まう人たちの異様な残虐性。攻撃と破壊の衝動の凄まじさ。それらに直面したうえでの翔平の心の成長。尋常な物語の主人公にはない、生々しい勇気に感動させられた。
 他に良かったのは黒井。鉄指の紳士と呼ばれる彼の強さが際だっていて燃えた。立ち回りの鮮やかさでは花岡隊長をも凌駕する。
 ところで、もはやどこにも「夕闇通り探検隊」の面影がないね。いや、無理に残さなくていいのだけど。

アイアムアヒーロー(5)

2011-05-28 16:16:43 | マンガ
アイアムアヒーロー 5 (ビッグコミックス)
クリエーター情報なし
小学館


「アイアムアヒーロー(5)」花沢健吾

 なんとか樹海を脱した英雄と比呂美。「標高が高いところではウイルスの進行が遅い。みんな富士山の5合目に集まっている」という情報を聞きつけ、流れに乗ることにした2人は、当然のようにそこでもゾンビ症の大量発生に巻き込まれる。
 カメラマンの荒木の助けにより虎口を脱した2人は、別ルートでひとまず5合目を目指すことに。道中、荒木から聞いた話では、今ネット上では来栖という名の「予言者」がいるのだという。元ニートでゾンビ症を発生した母をさっくり撲殺した彼は、この騒ぎの先鞭を握り、多くの指示を集めているとか……。

 面白い。もう多少のことでは動じないと思っていたのに、1ページめくるたびにぎょっとさせられる。まさかあれがああなるとは、これがこうなるとは、という良い意味での裏切りが新鮮で、最後まで息つくまもなく一気に読んでしまった。
 しっかし本当に、人間が無力な話だよね。ゾンビ症罹患者が強すぎるというのもあるけど、自衛隊や在日米軍などの近代兵器で武装してる集団ですら崩壊しているという現実がきつすぎる。狭い日本という国土の中で、逃げる場所なんて限られてるし、閉塞感がハンパない。ゾンビものにもっとも必要な要素だから、それはもちろん良いことなんだけどね。もし自分が同じ状況に追い込まれたとしたら、どうだろう。一部の人たちのように、「目覚め」ちゃうのだろうか。楽しい世界……な気がする。

牙の旅商人(1)

2011-05-25 01:21:38 | マンガ
牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)
クリエーター情報なし
スクウェア・エニックス


「牙の旅商人(1)」原作:七月鏡一 漫画:梟

 開拓民の子・ソーナは、極悪非道なハイドラ一味に襲われ、家族を目の前で陵辱・虐殺される。さらには犠牲者の焼き印を手に押され、砂漠に打ち捨てられる。
 飢えと渇きに、死を覚悟するソーナ。その目の前に、一人の美女が現れた。武器商人ガラミィ。家族との暖かい思い出を抱いて死ぬか、剣をとるか選べといわれたソーナは、悩んだ末に剣を選んだ。
 命を助けた対価として、ガラミィに金貨100枚で買われたソーナは、彼女の下僕として旅に出ることに。ソーナの小さな世界は飛躍的に広まった。奴隷にゾンビに獣人に囚われの姫君。荒野には、謎と冒険が散りばめられていたのだ……。

 おお、今日日珍しいダークファンタジー@荒野。ベタ主体の黒い絵柄と話の陰惨さがマッチしていて、とてもよい雰囲気だ。ガラミィの謎めいたたたずまいと強さ、ソーナの青さ、そして渋い脇役たちの一挙一動のどれもが好み。これはひさびさの当たりかな。

電波女と青春男(6)

2011-05-22 00:49:13 | 小説
電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「電波女と青春男(6)」入間人間

 青春女になると決意表明し、こそこそ学園祭に乗り込んだエリオ。学園祭の午前中、にわ君を独り占めする権利を得た前川さん。にわ君と学園祭を回り、カップルイベントに参加したリューシさん。そんな3人に囲まれて青春真っ盛りなにわ君。女々さんとお婆ちゃんとヤシロと○○と○○と○○○と○っ○○、ついでに多摩湖さんと黄鶏くんも特別出演したりして、本当に賑やかで先の読めない楽しい巻だった。
 伏せ字の部分はネタバレになるからいえないけど、シリーズ通して読んでいて、6巻までに挫折しそうな人がもしいたら、この巻だけは読んでほしいと思う。忘れかけていた伏線が、一気に、それも最高の形で噴出するから。これは見なきゃ損。
 ハーレムがらみでは、リューシさんは相変わらず可愛いけども、前巻から引き続き、前川さんがずずいと前に出てきた印象。まあ、絶対報われないポジションだけどね。
 子犬キャラのエリオは、けっこう成長した。後半のあのシチュエーションであんな行動がとれるとは。にわ君じゃないけど、保護欲がうずいて目頭が熱くなった。
 次巻が気になるな。是非、学園祭の打ち上げシーンを読みたいのだが。

変態王子と笑わない猫(2)

2011-05-19 23:32:48 | 小説
変態王子と笑わない猫。2 (MF文庫J)
クリエーター情報なし
メディアファクトリー


「変態王子と笑わない猫(2)」さがら総

「ふふん」顔の小豆梓の表紙を見て、「おお、今回は小豆梓回か。誰得だよ、俺得だな!」などと大変楽しみに読んでみたら、まさかまさかの鋼鉄さんこと筒隠つくし回。いやあ、別に嫌いなキャラじゃないんですけど、しかし1巻の様子から、ここまで驚愕の寄せがあるとは想像できなかった。
 んで、話の内容はというと、筒隠家の土蔵に封印されている笑わない猫像の本尊(?)がいろんな人の願いを無理矢理叶えまくった結果、突如として家無き子となった横寺が筒隠家に居候することとなり、月子の全裸を拝み、つくしを性的に喘がせ、遠く南国にいた小豆梓を呼び寄せて手錠で拘束し、と、書いてるうちになんだかわけわかんなくなってきたけど、すべて事実なのが恐ろしい。さすが横寺、変態王子の名に偽りなし。
 そんな全力のラッキースケベ展開をよそに描かれるのは、月子・つくし姉妹の理想と現実と不安。時として無駄にいい男な横寺がそれらをばっさばさと薙ぎ払う後半には胸がすく思いだった。
 個人的希望としては、もう少し台風の被害を大きく長くしてほしかったかな。限定空間での生活って楽しいからね。
 小豆梓好きとしては今回はかなり残念だったけど、あとがきで、次は「小豆梓の逆襲」ありと書いてあったのでまあ良し。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(7)

2011-05-17 11:12:12 | 小説
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキー・メディアワークス


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(7)」伏見つかさ

 いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ、面白い!
 個人的に今一番楽しみにしているシリーズの最新巻。アニメも好調だけど、こっちはさらにその上をいく絶好調だね!
 アマモデルからプロモデルになり、海外へ行くよう事務所の社長から説得されている桐乃を、なんとか波風立てないように日本にとどまらせるために「彼氏のふりをする」ことになった京介。ほんとの妹ものエロゲーみたいなシチュエーションに舞い上がった京介と、最大限恥ずかしがっている桐乃のやり取りが良かった。最後はもちろん桐乃が怒っちゃってぐだぐだだったけど、シスコンブラコン(なんだよね?)同士だけに、ほほえましいとしかいいようがないものだった。
 沙織、黒猫も交えてのコミケに交わる創作活動や売り子をする話も良かった。桐乃の人生相談からなんやかやでもう一年以上たったのだなあと感傷に浸ってしまった。沙織や黒猫との関係の深まり。京介の堕落……。
 そう、いまや京介は「そっち側」の人間になってしまった。「オタク趣味に理解のある人間」どころか、コスプレという新たな分野の気持ちよさに目覚めたことで、完全に彼岸に渡ってしまった。面白いからいいけど。ラブリー天使あやせたん宅でのそれも、まあこれはこれで……。
 そんな京介にマイってしまっている黒猫は今回もひたすら可愛いい。京介に見せるための、普段のゴスロリではない「白猫」姿や、時折見せる密やかなスキンシップに、愛とエロさを感じた。ラストの展開は、事前にネットに情報が流出していたのでそこまで驚きはしなかったものの、ちょっと感動的なものがあった。
 麻奈美さんは……1シーンだけの登場でした。しかもモブ同然の。本当にご愁傷様です。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡

2011-05-16 01:30:32 | 小説
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(8)」入間人間

 紆余曲折を経て、いつも通りとなったみーまーの2人は、主にまーちゃんの気分によって、ちょっとしたバカンスに出ることに。といっても海外や国内の有名観光地ではなく、ちょっとした、ほんの些細な旅行なのだが。2人のたどり着いたホテルでは、やはり今回もいろいろと起こりまくる。
 緑の帽子のロリコン探偵と、その寵愛の対象の尊大な少女。自殺志願の少女。部屋の死体の処遇に困る中年。後輩の女の子と初めてのホテルに舞い上がる大学生。ホテルで生活する人間嫌いな小説家。行方不明の夫を捜す人妻。訳あり人間たちの起こす騒動に、しかし今回はほとんど巻き込まれないみーまーなのだった。

 まさかの群像劇。しかもみーまーほとんと出番ないとか、かなりの変化球。主人公って誰だっけ……?
 だがまあ、面白かった。奇人変人大騒動に振り回されまくったり、入間人間のあのシリーズやこのシリーズからいろんなキャラが友情出演しまくってたり、見所が豊富にあった。
 謎解きはいつも通りで、たぶんこの人なんだろうなという人がやっぱり犯人だった。入間人間らしすぎて、そのへん意外性が欲しい気もする。
 ところで、最後の最後に提示された次巻への含みは……これはまじなのか……?

オールラウンダー廻(5)

2011-05-13 18:42:25 | マンガ
オールラウンダー廻(5) (イブニングKC)
クリエーター情報なし
講談社


「オールラウンダー廻(5)」遠藤浩輝

 アマ修斗の関東選手権を順調に駆け上がるタカシと、右腕の怪我をごまかしごまかしの勇大と、小笠原とのフルラウンドの激闘を閃きでものにするメグル。三者三様の戦いを繰り広げる中、いよいよタカシと勇大が激突する。注目の第5巻。

 ふー、今回も格闘技成分大目で満足。総合格闘技マンガも最近は増えてきたけど、これほど蘊蓄が詰まってるのは他にない。
 この作者らしいというか、選手たちの戦い方や心の動きが丁寧に書かれているのがポイント。極めて勝つことにこだわる小笠原。己の技に準ずる勇大。空手とムエタイと総合をハイブリッドさせる求道者・タカシ。一瞬の閃きと学習能力で技を繰り出せるメグル。パンチキックそれぞれに、回避や移動のアクションひとつひとつに意志がこめられているので、無駄なコマが一切無く、濃密な紙面になっている。
 負傷や疲労の蓄積でぼろぼろなメグルと勇大を、このまま次の試合に出していいのかで意見の対立する健一郎とまりあなど、人間関係もきちっとしていて素敵。試合シーンになるととたんに影の薄くなる(蘊蓄がないから)マキちゃんの登場シーンが少ないのが残念だったけど、それ以外はとても良かった。

のりりん(2)

2011-05-11 02:56:06 | マンガ
のりりん(2) (イブニングKC)
クリエーター情報なし
講談社


「のりりん(2)」鬼頭莫宏

 からももさんと一緒にラーメン屋までサイクリングしていたノリ。途中、心ない自転車野郎とのバトルに負けたりして心がざわついていたら、目的地のラーメン屋になんとそいつがいた。等々力という名前のその男とひとしきり言い争ったノリは、輪ママの策略にはめられ、リベンジをすることに。
 とはいえ、さすがに今いきなりは無理なので、一週間後にやることに。いや一週間後でも無理でしょ。なんだけど、決まったものはやるしかない。輪ママに自転車を、輪に実地で走りを教わりながら、ノリはいつしか、自転車のことばかり考えて生活するようになっていた……。

 うん、面白い。日常に即したロード系の自転車漫画らしく、自転車蘊蓄が随所に散りばめられている。まったく知識のないノリに教えるという形態をとっているので、そのへん全然無理がない。
 ノリの優しさに惚れて、ノリと親しくなるためにいきなりウン万円もする自転車を買っちゃうからももさん。等々力とのバトルに弱気なノリの背中を「ダメだよ勝つよ」と押してくれたり、その穏やかな外見とは裏腹の、体育会系な思考形態がいい。立ち位置的には輪ちゃんがメインヒロインだとは思うのだけど、彼女、全然男に目がいかないからなあ……。いや、そこがいいんだけど。彼女しかり、この漫画の雰囲気しかり。変に萌えやラブコメじゃないのがいいのです。

花×華

2011-05-08 23:02:06 | 小説
花×華 (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「花×華」岩田洋季

 夭逝した天才映画監督・園端朝地の息子・夕は、「はな」という少女からの美しいラブレターに呼び出され、桜舞う中1人の少女に告白された。彼女の名は東雲華。同じ学校の同級生でアイドルでお嬢様な彼女からの告白に動転していると、そこにまさかの「ちょっと待った」コール。華とは対照的な、運動神経抜群小動物系の少女・成宮花。彼女もまた夕のことが好きで、同じようにラブレターを出したと宣言する。あれ? でも、ラブレターは1枚。名前はどちらも「はな」。あれれ?
 学校のアイドル2人からの同時の告白。それは速やかに同じクラス内での奪い合いに発展し、夕の学校生活は、にわかに色合いが鮮やかになっていく。
 夕が所属する映像研にまで入り込んできた2人の「はな」は、夕の向けたカメラの先で、彼女たちだけにしか放てない特殊な光を放つ。それが、父親へのコンプレックスにがんじがらめな夕の中の何かを揺り動かした……。

 ある少年の映像に賭ける情熱と、2人の少女とのハーレム。
 微妙。若き天才の卵を描こうとしているのにそれが描けてない。「映画」ではなく「映像」を撮らせたのは、作者が「映画」をうまく描写できないから、あえて触れずに曖昧に誤魔化したからなのではないだろうか。そう邪推してしまう。
 だって、なんのシナリオもない、意味ありげな美少女2人を撮ったってだけの映像なんて、見るほうもつまらないだろう。その映像にしたって、美麗な言葉(というほどでもない手垢のついた表現)で飾っただけの代物で、良いところが何ひとつ見えてこなかったし。
 演じる側の天才を描いた作品の成功例に、恩田陸の「チョコレートコスモス」というのがあるが、作者にはそれを100回ぐらい読んで出直してきていただきたい。