青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)小林 まこと講談社このアイテムの詳細を見る |
3日や4日寝ないのは当たり前。
20時間くらい何も食わないのも当たり前。
たばこは呼吸のように1日7箱。
缶コーヒーは1日10本以上。
締め切りのストレスで胃はボロボロ。
逃亡したこと数回……
「青春少年マガジン(1978~1983)」小林まこと
「週間少年マガジン」創立50周年企画として描かれた、小林まことによる回顧録。新潟から漫画家になることを夢見て上京して来てみたものの、なかなか芽が出ず死にかけていた19歳の頃から、出世作「1・2の三四郎」が終わるまでの5年間。彼には仲の良すぎるほど仲の良いライバルが2人いた。合わせて「新人3バカトリオ」と呼ばれることになる彼らとの切磋琢磨の日々。その日々は楽しくおかしく、しかし壮絶で濃密すぎるあまり、たったの5年間で終焉を迎えることになってしまった……。
なんという恐ろしい生活……。
漫画家が、とりわけ週間誌の漫画家が厳しい職業だとは聞いていたが、まさかこれほどのものだったとは……。
指が動かなくなり、足が動かなくなり、常に自殺の衝動と戦い続け、そこまでしても、人気がなくなれば打ち切り、田舎へ敗戦帰国することになる。生と死のぎりぎりの境目に自分をおいてまで執筆し続ける彼らの覚悟と漫画への情熱には、思わず頭が下がる。楽しくおかしい漫画というメディアの裏側にあるからこそ、凄みがある。
一足先に旅立たれたお2人に対する作者の想いが紙面から伝わってきて、最後はほろりとさせられた。漫画を愛するすべての人に、読んでいただきたい。