ソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド (電撃文庫)川原 礫アスキーメディアワークスこのアイテムの詳細を見る |
「ソードアート・オンライン(2)」川原礫
キャラの死亡イコールプレイヤー自身の脳死。あげく強制離脱も出来ない仕様の本当の意味でのデスゲーム、ソードアート・オンライン(SAO)。第一巻の結末があんなことになったので、続編は出ないだろうなと思っていたところへまさかの2巻。ただし題材は、攻略組の頂点に達するソロプレイヤー・キリトと、トップ集団KoBの副団長・アスナが最前線を遠く離れた22層に新居を構え、ひとときの安らぎを味わっていた頃が中心。まあそりゃそうかって話だが、作品自体は今回もよく出来ている。
無闇に強いキリトが全方位に無自覚にフェロモンをまき散らし、アスナのみならずあらゆる女性にモテまくる。ビーストテイマーのシリカ。鍛冶屋のリズベット。かつて全滅した月夜の黒猫団の槍使いサチ。本人が望む望まぬに関わりなく沸き起こる恋の鞘当て……は置いておいて。いやまあ、そういうお話じゃないんで。ダンジョン攻略最前線ではなく一歩引いた下層~中間層をフォーカスすることでゲーム自体の深みを出す狙いは的中。この話を読んだあとに1巻を読むとさらに面白味が増すかも。
ところで僕自身もFF11なんていうMMOをやっているんですが、作者と同様に、トッププレイヤーではない圧倒的に多い中間層で日々を送りながら、トッププレイヤーたちを「すげー つえー」と眺めています。でも、それがいいんだよね。他のゲームと違って、MMOの主人公はどんな形でも存在できるから。ヘタレでもいいの。「自分がその世界に存在している」感覚がすごく好きなんです。