月見月理解の探偵殺人 5 (GA文庫) | |
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「月見月理解の探偵殺人(5)」明月千里
妹・遥香との諍いにひと段落ついた初の日常は、ちょっとだけ落ち着いた。迫るクリスマスに向けて、放送部でハーレムメンバーと和やかに談笑する余裕もあったりする。
というのはもちろん欺瞞。表面化で近づきつつある「それ」の存在に誰もが気が付いていて、どうしようもないこともわかっていて、だからこその仮初めの平和だった。
ある日目覚めてみると、初は月見月家の所有豪華客船の船室にいた。
溜息とともに理解する。2人の少女と共に、自分はこれから最後の戦いに挑むのだと……。
んで、行われるのが人狼の決勝ラウンドというのが非常に残念。ゲーム自体は面白いのだけどね。だって、それ他人が創ったゲームじゃん。ちょっと変化を与えてはいるけど、もろぱくりじゃん。既成の作品におんぶにだっこ、というのが相変わらず気に食わない。3巻ではそこんとこうまくできてたのになあ……。「嘘食い」とか見習えよ。
まあでも、解法は良かった。ドッペルゲンガーを乗っ取ったグラウンドゼロと、理解の無数に扉のある高座をパクッた連理。一般ピーポーとは一線を画する2人の強敵をどう出し抜くか、というのが非常に興味深かった。
キャラ的には、久遠とか真理とかメイドさんがちょい役すぎて泣けた。真理とかいい味出してるんだけどなあ。
遥香:前巻で役割終了。
京先輩:この人も生かせなかったなあ……。
宮越さん:この人もいいキャラだった。個人的にはイスカに匹敵していた。でも能力なし子さんなので話に絡み切れず、残念。
イスカ:可愛く健気な無口キャラという最強の存在。とくにデレてからの一挙一動はやばすぎた。初の袖を引く、というだけの動作に何度悶死させられたことか。ドッペルゲンガーとの軋轢もうまいこと消化してくれた。あっけないといえばあっけないけども。
理解:彼女の過去がいまいちぴんとこなかった。描写自体が少ないことが原因かな。ほんのちょっとの回想や心象風景だけで済ませてしまうには、彼女のキャラは異質すぎた。ぶっとんでて好きでした。
初:理解とかの強キャラ達に振り回されつつも決めるとこは決めてた。精神的にもタフだし、主人公っぽくて良い。
なんだかんだで面白かった。楽しめた。もっとオリジナリティが欲しいという気持ちは変わらないけども、能力者たちによる変化球的デスゲームモノとしては有り。この人が次のシリーズ書き出したら、買ってみようかなとは思います。