「あの人分かってねーな。やりたいことのある人とやりたいことのない人の間に何かしたいけど何が出来るのか分からない人ってカテゴリーがあって、8割方そこに属してると思うんだがね」
「ネムルバカ」石黒正数
大学の女子寮で同居する鯨井ルカと入巣柚実。先輩の鯨井はプロデビューを目指してバンド活動に打ち込み、後輩の入巣は目的もなくバイトを繰り返す。
鯨井は夢がかなわないことへの不安。入巣はしたいことがない自分への苛立ち。それぞれに将来を怖れていた。
入巣の同級生の車を奪っての深夜の逃避行。公園ゴルファーの頭部に直撃させてしまったノーコンキャッチボール。深夜のラーメン屋でビールとラーメンを流し込みながらの妄想コイバナ。「大学生」のぬるま湯に頭まで浸かった2人は、それなりに楽しい日々をおくっていた。
鯨井が大手プロダクションの目に止まったことで、事態は急変する。ふわふわとした生活との離別と、何より離れ離れになることの寂しさが、澱のように部屋に淀む。
コンビニで手当たり次第にものを買って食って飲んで騒いで、先に寝てしまった入巣の寝顔を眺めながら、鯨井は浸る。入巣にいえなかったこと。本意ではないソロデビュー。
鯨井の初コンサートで、2人は再会する。そしてそこで入巣は知るのだ。鯨井の真意と、自らへのメッセージを……。
「それでも町は廻っている」の石黒正数の手による青春ストーリー。
同作品に比較してギャグ濃度は薄めだが、笑えるシーンは十分ある。統一されたメッセージが作品の底流に流れているので、ひき締まった青春ものとして、読み応えはばっちり。鯨井と入巣の友情も可愛く微笑ましく、おすすめの一冊。
「ネムルバカ」石黒正数
大学の女子寮で同居する鯨井ルカと入巣柚実。先輩の鯨井はプロデビューを目指してバンド活動に打ち込み、後輩の入巣は目的もなくバイトを繰り返す。
鯨井は夢がかなわないことへの不安。入巣はしたいことがない自分への苛立ち。それぞれに将来を怖れていた。
入巣の同級生の車を奪っての深夜の逃避行。公園ゴルファーの頭部に直撃させてしまったノーコンキャッチボール。深夜のラーメン屋でビールとラーメンを流し込みながらの妄想コイバナ。「大学生」のぬるま湯に頭まで浸かった2人は、それなりに楽しい日々をおくっていた。
鯨井が大手プロダクションの目に止まったことで、事態は急変する。ふわふわとした生活との離別と、何より離れ離れになることの寂しさが、澱のように部屋に淀む。
コンビニで手当たり次第にものを買って食って飲んで騒いで、先に寝てしまった入巣の寝顔を眺めながら、鯨井は浸る。入巣にいえなかったこと。本意ではないソロデビュー。
鯨井の初コンサートで、2人は再会する。そしてそこで入巣は知るのだ。鯨井の真意と、自らへのメッセージを……。
「それでも町は廻っている」の石黒正数の手による青春ストーリー。
同作品に比較してギャグ濃度は薄めだが、笑えるシーンは十分ある。統一されたメッセージが作品の底流に流れているので、ひき締まった青春ものとして、読み応えはばっちり。鯨井と入巣の友情も可愛く微笑ましく、おすすめの一冊。